しかし、若いうちはともかく、中高年になると二日酔い(宿酔いとも言う)もきつくなり、それを繰り返していると、すい炎や脳出血、クモ膜下、脳梗塞といった生命の危険にさらされる重大疾患になる可能性がある。飲酒もほどほどが肝要ということだ。
そもそも「二日酔い」の症状というのは、専門家の定義づけを聞くとこうなる。
飲んだ酒が体の中で分解され、体外へ排出されるまでの過程で起こる現象。吐き気や頭痛の他、ひどい時は、体の震え、喉の渇き、アルコール胃炎などの自覚症状がでる−−。
飲酒で体内に入ったアルコールは、約20%が胃で吸収され、残りのほとんどが小腸で吸収されて血液中に溶け込み、さらには全身を駆け巡る。そして脳に達したアルコールは脳をマヒさせていき、その濃度に応じて「酔い」の感覚をもたらすという。
また、飲んだアルコールは、肝臓に運ばれる。そこでアセトアルデヒドに分解され、さらに酵素の働きで酢酸を経て、最終的には無害な水と炭酸ガスになって排出される。だが酔いが残るということは、中間代謝の産物であるアセトアルデヒドが分解されず「二日酔い」になると考えられる。
つまり、二日酔いを防ぐ基本は、このアセトアルデヒドをなるべく早く分解して無毒化すること。二日酔いするかしないかの分かれ目は、この“分解能力”の差で決まるのだ。
ご本人も「酒は好き」という、都内で胃腸系『井上内科医院』を開く井上和義院長は「夜に酒を飲み、朝起きると不快感。そんな悩みがある人は、残るほど飲まないことですな」と笑うが、飲酒体験は豊富のようだ。
「“酔い”というのは、個人差があるし、その程度は、血液中のアルコール濃度に比例する。体重60キロの人がビール大瓶1本飲むと、酔いが覚めるまでに約3時間かかるといわれる。つまり、1時間にアルコールは10cc程度しか分解できないことになる。二日酔いになりたくないなら、日本酒1合、ウイスキーならシングル2杯程度ということになりますが、どうですか? ここでとどめることが出来る人は、翌日も爽快でしょう。二日酔いは、これを超える量を飲めば飲むほど起こるというわけです」(井上院長)
二日酔いは、深酒の果てだから、翌朝以降も頭痛や吐き気が残る。また別な要因として、アルコール分解中は低血糖に傾きやすいこともあり、前述でも触れた通り、動悸、震え、頭痛、眠気などの症状が出る。これはアルコールの利尿作用によって脱水症状を招くため、血液中のミネラル類のバランスが崩れ、疲れやダルさといった体調不良が起きるためだ。また、体内のアルコールを分解するために、大量のビタミン類が使われるため、それが不足すると「疲れ」「だるさ」といった症状が出ることも専門家は指摘している。