背景を、証券系アナリストがこう解説する。
「原因はエジプトの政情不安で、これにより原油産出国である中東情勢が不安定となってしまった。さらに、死者数100人を出したエジプトでは8月14日に非常事態宣言が出され、先が全く読めなくなった。紛争にはイスラム過激派も加わり、長期化しそうな雲行き。原油備蓄や量産を抑える動きも出始めたため、場合によってはリッター200円を突破する可能性もあるのです」
ガソリンがさらに高騰すれば、庶民生活を直撃することは必至。だが、この値上げはそれだけにとどまらないとの観測が広がっている。東日本大震災の影響で現在、日本は火力中心の発電に頼っているが、これが原因で原油の買い上げ量が5兆円前後、と倍増。今後も原油高が続けば、それが電気料金に跳ね返ってくることが確実視されているからだ。
「今年9月までに家庭用電気料金は平均8%、産業用で平均10%値上げされることになるが、今後はさらに5%から10%上がる公算が大。電気料金が値上げされれば、当然あらゆる物価にそのコストが上乗せされ、急速な物価高が起こる可能性も指摘されているのです」(前出・アナリスト)
そのためか、今春「(アベノミクス効果で)2年で2%の物価上昇」を宣言した安倍政権も戦々恐々とした事態に陥っている。
「安倍政権は、10月に消費税の増税か否かを世界に宣言しなければならないが、閣内から『とても来春の増税などできる状況にない』との声が上がりだしている。ただ、消費税を値上げしなければ、1000兆円を突破した日本の財政悪化を懸念する国際社会の反感を買い、日本の国債が大暴落してしまう。エジプト情勢不安と原油高騰など頭になかった安倍政権は、突如、10月危機を迎え始めたのです」(財務省関係者)
要は、政権運営の舵取りが、いきなり危うくなりだしたのだ。これぞ、ファラオの呪いと言うべきか。