この事件では、3日の午前9時頃、同市の市営住宅1階に住む岡本ユキヱさん(92)と、その息子の久行さん(70)が、突如侵入してきた人物にサバイバルナイフで切りつけられ、ユキヱさんが出血性ショックで死亡、久行さんは背中を切られ重傷を負っている。
捜査関係者によれば、岡本さん宅のインターホンは訪問者を自動撮影し、30枚まで記録されるようにセットされていた。その中に女性も写っていたというが、久行さんは「この顔に記憶はない」と証言している。
現場からは自殺した女性と一致したDNAも採取されているとしているが、周辺関係者によれば、「事件の関与について強く否定している」との話もある。
「今治署の捜査本部では4日、複数の目撃証言と事件現場周辺の防犯カメラ映像から、この女性を任意で呼び、同時に自宅を家宅捜索した。ところが、同行後、9時間のうち5時間に及ぶ聴取でも、女性は否認を繰り返し、証拠品も得られず進展がなかったのです」(捜査関係者)
そのため女性は、午後11時頃にいったん家族の元へ戻されたが、翌5日の午前9時頃に再び捜査員が訪れると、自室で自殺していた。傍らには「私は殺していない」との文面の遺書が残されており、事件の関与について強く否定している。
「女性は、30歳を過ぎたあたりからは引きこもりがちになる一方、2〜3日に一度、オレンジ色の自転車に乗り、頭にタオルを巻いた姿で近所を疾走していたそうだ。その途中、他人の家のインターホンを押して逃げる“ピンポンダッシュ”をすることもあったそうで、もともと精神的に不安定だった可能性もある」(全国紙社会部記者)
「同市では4月26日、一人暮らしの女性(81)が刃物で腹部を刺され死亡する事件も発生している。警察は3日の事件を受けて初めて捜査本部を設置したのですが、この時点で、すでに後手に回ってしまったという指摘もあります。さらに、'15年3月、同じく同市で79歳の女性が路上で胸に庖丁が刺さった状態で死亡している事件も起きている。警察は当時、自殺と結論づけているものの、今回の事件との関連も囁かれ始めているのです」(同)
現場からは自殺した女性と一致したDNAも採取されているが、鍵を握ると見られた女性が死亡した今、真相は解明されるのか。迷宮入りの可能性も出てきた。