早朝7時の開門にもかかわらず、詰めかけたファンは7年ぶりに8000人の大台を記録。協会関係者は大喜びだったが、その満座の中で大恥をかかされたのが、すっかりイケメン力士の遠藤人気に食われた格好の大関・稀勢の里だった。新横綱の鶴竜、日馬富士らとの申し合いでは11番取ってたった2勝しかできなかった上、ぶつかり稽古で白鵬に胸を出されてたっぷりかわいがられたのだ。
「あの手のかわいがりは横綱、大関の上位者が新米や上位に上がって来たばかりの若手にやるのが普通。大関にやるのは非常に珍しい。もっと驚かされたのは、転がされ、ヒザで小突かれ、全身砂まみれで息もたえだえになっている稀勢の里を見て、館内から笑いが起こっていたことです。これが遠藤なら、悲鳴や、がんばれという声援が飛んでいたはず。もうファンの関心は完全に遠藤に移ってしまったのでしょう」(担当記者)
まさに踏んだり蹴ったり。稽古後の稀勢の里は口を固く結んで何も答えなかったが、この白鵬のかわいがり、これが初めてではない。4月20日の茨城県笠間市巡業でも、同じようにイヤというほどかわいがっている。
この理由について白鵬は「ご想像におまかせします」と多くを語らなかったが、横綱争いで鶴竜に先を越された直後だけに、しっかりしなきゃダメじゃないか、という叱咤の意味がこめられていたのだろう。
北の湖理事長は横審の内山委員長に、「今の大関陣は横綱になれない」と話したという。果たして稀勢の里はこの見方を覆し、白鵬の“恩”に報いることができるか。夏場所は正念場だ。