A:片側で噛む癖があると、顔は左右でゆがみが生じます。ほとんどの人が、左右どちらか片側で噛む癖があります。右利きの人の場合、主に噛むのは左側であり、左利きの人はその逆で主に右側です。
なぜそうなるのかというと、日本人は箸を使って食べますが、右利きの人は口の左からものを入れます。左利きの人は逆に、口の右からものを入れます。当たり前のことですが、口の真ん中あたりから食べ物を口に入れる人はいません。
口の左からものを入れると、どうしてもその側で噛んで食べます。右利きの人は主に左の奥歯(左の顎)で、左利きの人は主に右の奥歯(右の顎)で噛んで食べるのです。
多くの人にそういう癖が身についていることは、ガムを噛んでもらうとすぐにわかります。ただし、虫歯や歯周病を治療していないで、抜けた歯があると、主にどの歯で噛むかは変わってきます。
片側で噛むと、その側の頬などの筋肉は鍛えられるし張りがありますが、反対側の筋肉は鍛えられないのでたるみます。
左右均等に鍛えないために、主に噛む側が、あまり噛まない側に比べ目や口角の位置が高くなり、顔がゆがむのです。片側で噛む癖は、顎関節症の原因にもなります。
●ガムで左右均等に噛む訓練を
この癖を直すには、意識して左右で均等に噛むようにすればよいのですが、心がけだけでうまくいくとは限りません。それを習慣づける方法として私は、ガムを噛むことを薦めています。
右の奥で5回ほど噛んだら、次は左の奥で5回ほど噛みます。まずは、この噛み方を身につけましょう。
それが身につくと、食事のときも左右の顎を均等に使って食べるようになります。
私の治療経験では、片噛みの癖がある人は口呼吸の人が多いのですが、片噛みの癖を直してしまえば口呼吸の癖も直ります。
口呼吸はいろいろな病気の原因になってしまうことからも、片噛みの癖は直したいものです。
今井一彰氏(みらいクリニック院長)
山口大学医学部卒業。東洋医学などさまざまな医療を駆使し、薬を使わずに体を治していくという独自の観点に立って治療を行う。フットケアにも精通している。