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肌“カサカサの季節”到来 猛烈な痒みが襲う「乾燥肌」から逃れる方法(1)

 いよいよ師走。慌ただしさが一段と増す季節だが、皮膚の乾燥と痒みに悩まされる時期でもある。原因はさまざまだが、あまりの痒さに耐え切れず、ついつい掻きむしって皮膚に傷を付け、細菌による感染症を発症することもしばしばだ。今回は、こうした乾燥肌と痒みから、いかにして解放されるかをお伝えしよう。

 痒みをともなう乾燥肌とはいかなるものか。まず専門家の見解を聞いてみた。都内で皮膚科クリニックを開く日本皮膚科学会会員・木下三和子院長は「ひと言でいえば、皮膚から水分が蒸発してしまうこと」で、その乾燥肌と痒みの因果関係を次のように話す。
 「肌から水分が蒸発してなくなると、刺激に対する痒みの“闘値”が低くなり痒くなります。その要因は、アトピー性皮膚炎などの遺伝的な体質、加齢からくるもの、あるいは石鹸(化粧品)などによる後天的なものが考えられますが、きちんと診断を受けたうえで、それに沿った治療をすることが大切です」

 人の皮膚は、一番外側にある「表皮」(厚さ約0.2ミリ。何層もの細胞が重なって構成される)と「真皮」(主に繊維や細胞で構成)、そして脂肪組織からなる「皮下組織」の三層からできている。
 このうちの「表皮」は、細胞が絶えず新陳代謝を繰り返している。最下層では新しい細胞がどんどん作られるので、古くなった細胞は少しずつ押し上げられ、やがて“垢”となって自然に剥がれ落ちていく。
 ただし加齢とともに、そのサイクルが遅くなり、高齢になるほど角質細胞は剥がれ落ちにくくなる。つまり、皮膚が厚くなってしまうのだ。加えてキメが粗くなり、“保水力”が極端に落ちてドライスキンになる。その上、角質細胞の間に隙間も増え、中の水分が外に逃げやすくなり、脂と水分の分泌バランスも崩れてしまう。
 こうなると、皮膚の表面はカサカサの乾燥状態。皮膚の保護をするバリア機能も衰えてしまい、外界からの刺激を受けやすく、ちょっとした刺激にも反応して痒みを誘発するのだ。

 神奈川県厚木市に住む会社員、神崎雄一さん(52)も、冬の訪れとともに毎年のように乾燥肌に伴う痒みに悩まされている一人だ。
 「寒い季節になると、体のいろんな場所が痒くなるんです。とくに下半身がそうで、靴下のゴムや下着のゴムが当たるところ。あるいは衣類で擦れるところ。他にも、二の腕もそうだし、最近は背中まで痒みが出るのでたまりません。布団に入り体が温まってくると出る。あまりに痒みが酷く、夜中に跳ね起きてしまったこともあります。体が冷えると治まるので、それを待ってまた寝る。寝不足ですよね」

 神崎さんはこの冬、意を決して皮膚科の医院で診察を受けた。その結果、処方された2種類の塗り薬と飲み薬で症状は治まっている。しかし油断していると、再び地獄のような痒みに襲われるということで、生活面からの改善に取り組もうと医師の指導を受けているという。
 また、神崎さんが口にした「温まると痒くなる」「冷えると痒みが治まる」というメカニズムは、大学病院皮膚科・アレルギー科の医師によれば「温度差のアレルギー」とも言うそうだ。風呂や布団の中で温まることによって血管が拡張し、血行が良くなることで皮膚が刺激を受けて痒くなる。
 逆に体が冷えると血管が収縮し、血行が悪くなるため痒みが治まるが、「これは、その場しのぎに過ぎない」(同)といい、根本的な治療をせずに放置すれば重症化することもあるとして、注意を促している。

 前出の木下院長もこうも語る。
 「もちろん、個人差はあります。肌質や体質が違うので、治療にしても対応が変わってきます。ただ、いずれも大部分が日常生活に起因するところが多いので、身の周りの環境に気を配るだけでも改善されることがあります」

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