(36歳・建設会社勤務)
A:二日酔いに効く漢方薬としてよく用いられるものに、「黄連解毒湯」や「五苓散」があります。
黄連解毒湯は、黄連、黄芩、黄柏、山梔子を配合しています。酒毒を尿から出し、熱を取ります。胃の不快感や頭痛などの緩和にも役立ちます。
五苓散もまた、飲酒でこもった熱や酒毒を尿で出し、むくみも取ります。お酒を飲んでいるときトイレに行く回数が少ない人、翌朝におなかが下る人にも適しています。
●茵蔯五苓散がオススメ
この2つの漢方薬もよいですが、よりよいものに「茵蔯五苓散」があります。これは、五苓散に茵蔯蒿を加えたものです。二日酔いのむかつき・むくみに適用します。
茵蔯蒿もまた、尿から毒(こもった熱)を出す作用がすぐれています。五苓散の作用をもっと高めた漢方薬ともいえ、実際、二日酔い防止の漢方薬として患者さんに人気ナンバー1です。
以上の3つの漢方薬はどれも、健康保険適用のエキス剤があります。お酒を飲む前に服用するとよいのですが、飲んだ後に服用しても二日酔い軽減の効果があります。
中国漢方には薬酒がたくさんあります。紹興酒は赤い色をしていますが、あの色は生薬の山梔子(クチナシの果実)の色です。たくあんなどの着色料にも使われます。山梔子には酒毒を消し、熱を取る作用があります。つまり、紹興酒ははじめから、酒毒や熱を消す解毒薬を入れています。
山梔子を配合している漢方薬に、「梔子柏皮湯」があります。日本酒にこの漢方薬を入れると、紹興酒の日本酒バージョンに仕立てられます。二日酔い防止のお酒ともいえますが、飲みすぎては意味がありません。なお、山梔子は黄連解毒湯にも配合されていますが、梔子柏皮湯のほうが効果的です。
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岡田研吉氏(研医会診療所漢方科医師)
東邦大学医学部卒。ドイツ留学中に東洋医学に関心を持ち、帰国後、国立東静病院で漢方を学ぶ。独自の漢方処方で生活習慣病等に成果を上げている。著書『さらさら血液が長生きの秘訣』など多数。