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この御神木に誰も触ってはいけない(山梨県甲州市)

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提供:週刊実話

 この木を切った者には、災いが降りかかるーーそんな怖い言い伝えを残す“祟り木”の話は、全国至るところに存在している。山梨県の甲府盆地東端に位置する甲斐大和駅にほど近い諏訪神社も、そんな場所のひとつだ。地元では「神木の祟り」と呼ばれているという。

 諏訪神社はテニスコート3面分ほどしかない小ぢんまりとした神社で、訪れる観光客はほとんどいない。しかし、1744年に再建された本殿は県指定文化財になっている。神社の建立時期は定かではないが、境内にある御神木の朴の木(ホオノキ)には「日本武尊がこの地で憩った折り、杖にしたものが発芽した」との伝承があり、地元教育委員会によって建てられた案内板で説明されている。

 さらに、その案内板を読み進めると「古来からこの神木を疎かにすると、不詳の事件が起きると信じられている」と書かれている。こうした内容を自治体が明記するのは珍しいが、この地では実際に“不詳の事件”が何度も起きている。

 1903年、この地に現在のJR中央本線が敷かれた際、御神木の朴の木の枝葉が伸びて隣接する線路を覆う形になった。そこで切ることにしたのだが、伐採を行った保線作業員はその後、立て続けに死亡したという。さらに1951年には、架線に触れてしまいそうな朴の木の枝葉を6人の作業員が切り落としたところ、そのうち5人が事故死や溺死など不慮の死を遂げ、残る1人も事故で重傷を負っている。さらに線路の複線化工事が行われた1968年には、地元の中学生を乗せたバスがちょうど神社の目の前で事故を起こし、6人の生徒が亡くなった。

 これらの事実を、単なる偶然と片付けていいのだろうか。

 その結果、当時の国鉄は諏訪神社に隣接する部分に防護壁を設置し、朴の木を伐採しなくても済むようにしたのだ。JRに限らず鉄道会社の場合、線路上の安全を守る理由からこうしたケースでは基本的に伐採するはずだが、それをあえて行っていない。そこには切るに切れない理由があるからだ。

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