NPBスタッフは「覚悟していた」とは言うものの、新たに露呈した難題は“想定外”だったようだ。
「もう、心配の次元が変わってきました。日本人メジャーリーガーを招聘できないなんて次元のレベルじゃない」(球界関係者)
野球競技の参加国はホスト国・日本を除いて5カ国。計6カ国で争うことは事前に分かっていたので、「1勝でメダル獲得か」という非難は覚悟していた。侍ジャパンは日本中の支持を得るため、『監督・イチロー』や『ゴジラ松井監督-長嶋茂雄氏のサポート体制』など、スタッフの“ドリーム化”も水面下で進めていた。しかし、肝心の選手招集でベストメンバーを揃えられない可能性が浮上してきたのだ。
「東京五輪が行われる4年後のエースと4番、誰だと思います?」
先の関係者がそう聞き返してきた。大谷翔平と藤浪晋太郎が投げて、中田翔と筒香智嘉で4番を争い…。野球ファンの多くがそう予想するはずだが、4人ともメジャー挑戦の意向を秘めている。中でも、大谷は東京五輪イヤーの2020年に国内FA権を取得。「五輪を戦って、同年オフに入札」と予想されていた。
「日ハムが今春、米アリゾナでキャンプを行ったのは大谷のお披露目。メジャースカウトによる大谷の最終チェックは'17年の第4回WBCです。『選手を売る』方針のこのチームは、売り時を逃しません」(同)
今季、不振に喘ぐ中田には「得点圏打率が低過ぎる」なる評価が日ハム内にもともとあって、スカウト陣も「次の4番候補」を最重要ポイントとし、今夏の甲子園視察を続けていた。その中田は'17年オフに国内FA権を取得する。大谷との同時ポスティングが現実味を増し、メジャースカウトは「筒香と巨人・菅野(智之)」の視察にも熱心だという。NPBスタッフがベストメンバーを揃えられないと嘆く理由は、主力選手たちの去就問題にある。
「野球・ソフトの復活は学生野球連盟、高野連の協力もあってこそ。となると、東京五輪でプロだけがおいしい思いをするわけにはいかないでしょう」(関係者)
大谷たちの去就も絡み、プロ・アマ混合チーム論がよぎり始めたのだ。
「プロに対し、アマ側が遠慮するので、混合チームはシドニー五輪で失敗しています」(同)
監督候補のゴジラ松井を支えるアマの要人の名前も挙がり始めた。星稜時代の恩師・山下智茂元監督は現在フリーだが、高野連は夏の甲子園に影響を持つので「影ながら応援」にとどまると思われる。
面識のない大学関係者を選べば、ゴジラ松井に遠慮して意見を引っ込めるのは目に見えている。自国開催ながらスター不在のチームなど前代未聞。