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最悪は切断… 腕だけでなく足でも血圧を測る重要性(1)

 健康診断など一般的な健診で血圧を測るときは、普通は上腕に圧迫帯を巻き付け、水銀血圧計に表れる数値で「高い、低い」が判断される。ところが最近、「足で測る血圧は、全身の動脈硬化を見る窓である」とテレビなどが取り上げたこともあって、足の血圧測定法が一躍、脚光を浴び始めている。

 東京・世田谷にある循環器系医院の開業医師が、こう語る。
 「そんなに珍しい事ではありません。当院でも、足の痛みを訴える患者の足の血圧を測り、血管を詳しく調べると、膝下の動脈が血栓で詰まっているのが判明しました。気付かず放置していたら血流が途絶え、足の小指か薬指が壊疽(えそ)を起こす可能性がありました」

 健康な人の足首の血圧は、腕で測った血圧と同じか、やや高目の数値になるといわれる。だが、足の動脈に血栓が出来るなど血流障害を起こしている時は、足の血圧の方は低くなる。
 後述するが、腕の血圧計測だけで済ませていると、足の血管障害を見逃してしまう恐れがあると医療関係者は指摘する。
 ここで言う“足の血管傷害”とは「閉塞性動脈硬化症」のこと。この病気の初期症状は足先が冷え、足がシビレる程度だが、気付かずに放置したままだと、最悪の場合、血流が完全に遮断され重症化する怖い病気だ。
 しかもこの病気、足を切断せざるを得ない壊疽の素因となるのはもちろん、他の血管疾患との合併率(約25%)も高いので余計、深刻にならざるを得ない。

 専門家に言わせると「腕の血圧と同時に足も測ることによって、腕の血圧と足の血圧の差で動脈硬化の進み具合がわかる」という。
 ただし動脈硬化というのは全身病で、足だけに起こるわけではない。「閉塞性動脈硬化症」などを手掛かりに検査を重ねた結果、全身の動脈硬化も確認でき、「心筋梗塞」「脳梗塞」などのリスクを早期発見する効果に繋がっている。

 厚生労働省が実施した10年前の患者調査では、閉塞性動脈硬化症で治療を受けている人は9万2000人に過ぎなかった。
 しかし後年、同省で新たに循環器疾患の基礎調査をしてみると、閉塞性動脈硬化症の症状である片足を引きずる「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」を訴えた人は、人口統計を基に分析すると、30歳以上の潜在的な患者数は400万人と推計、グンと跳ね上がったことが報告されている。

 どんなタイプの人に足の動脈硬化が起きやすいのか。東京社会医学研究センターの村上剛主任に聞いた。
 「この動脈硬化症というのは、足に限らず全身に起こります。いわゆるメタボリック症候群、生活習慣病と同じで、高血圧、高脂血症などの脂質異常症、糖尿病や喫煙、加齢などがあります。とくに喫煙や糖尿病の場合は、普通の人に比べると3〜4倍のリスクがあるので、年に1度は検査した方がいいでしょうね」

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