防災に詳しい村上和巳氏が言う。
「ゼロではないと思います。戦後に関して言えば、'90年の台風28号は11月に発生し日本に上陸している。22日にマリアナ諸島の南で発生してフィリピンの東海上で中心気圧は910hPaに。その後、向きを北寄りに変え、沖縄県大東島を暴風域に巻き込み、30日には大型の勢力のまま和歌山県白浜付近に上陸してしまったのです」
三重県尾鷲市では、11月としては歴代1位の、最大瞬間風速35メートルを記録した。
「巨大台風が発生する前提条件としては、今年のように猛暑が続き、秋になってもダラダラと暑さが続く状態が挙げられる。また、日本列島の南側に高気圧が張り出し偏西風が北側で吹いていれば、台風は日本列島に上がってくる。あって欲しくないが、そんなイレギュラーな条件が重なると冬の巨大台風が襲来するのです」(同)
しかも、世界的な異常気象はイレギュラーを生み出すのに十分な環境だという。日本にとって今、最も脅威なのが、福島第一原発の台風直撃だ。
「福島第一原発は電源喪失が悲惨な事故を生み出したが、電源に関しては十分な対策が講じられている。しかし問題は、汚染水タンクと、11月18日から始まった使用済み燃料棒の取り出し作業です」(同)
現在、タンク周囲には土嚢が積み上げられ堀になっているが、台風襲来で堀の中の水が溢れ出す可能性がある。加えて不安なのが、4号機での作業だ。
「公開された映像では、使用済み燃料の収められたプールでの作業は単純なものに見えましたが、もし台風が通過し想定外の事態が起きた場合、異なる手順が求められる可能性がある。その際、人為的ミスが出るのが非常に心配です」(同)
全ての作業を終えるまで1年。惨事が起こらないことを祈るばかりだ。