「神様、仏様、稲尾様」と西鉄ファンから崇め奉られた故稲尾和久投手がマークしたプロ野球記録の20連勝はもはや更新不可能と思われたが、野村克也元楽天監督が「マー君、神の子、不思議な子」と論じた田中将大(24)が、8月16日の西武戦であっさり更新した。
しかも、開幕20連勝は1912年にルーブ・マーカード(ジャイアンツ)が打ち立てた世界記録まで塗り替えた。実に、101年ぶりの快挙である。
歴史的大投手をこの目で見ておこう、マー君が先発する試合はホーム、アウェーともに満員御礼。この空前の大フィーバーに頭を抱えているのが、楽天のフロント陣だ。
パ・リーグ制覇後はクライマックスシリーズ、日本シリーズ、とマー君興行はいよいよ本舞台突入となるが、肝心の本拠地『日本製紙クリネックススタジアム宮城(Kスタ宮城)』のキャパシティー(収容能力)が少な過ぎるからだ。
そこで陣営が密かに検討しているのが、日本シリーズの『阪神甲子園球場』(4万7808人)での代替開催だという。スポーツ紙デスクが打ち明ける。
「これまでのKスタ宮城のキャパは2万3451人しかない。実にもったいない話です。今のマー君人気であれば、2万人以上の観客を捨てるようなものです。ペナント戦は年間指定席の問題もあり、シーズン途中で開催球場の変更は難しいが、ポストシーズン(CS及び日本シリーズ)なら十分に可能です。S指定席(8000円)が2万枚増えれば、それだけで1億6000万円の増収なわけで、商魂たくましい三木谷浩史オーナーが看過するとは思えない。日本シリーズの相手は東京ドームを本拠地とする巨人が大本命ですからここは使えない。そこで甲子園球場をターゲットにしているのです。甲子園は元阪神指揮官だった星野仙一監督にとっても古巣であり、いまだに馴染みの後援者やファンが多い。しかも、マー君のお膝元(兵庫県伊丹市出身)でもある。阪神ファンも歓迎こそすれ、反対はしないでしょう」
面白いのは、日本シリーズの代替開催は楽天のエゴにとどまらず、日本プロ野球機構(NPB)及び他球団も勧めていることだ。いや、Kスタ宮城でのシリーズ開催にこぞって「待った!」をかけているのだ。