政治部記者がこう話す。
「学習院大の教授から日銀副総裁に就任した岩田規久男氏が、前日に政府と日銀が掲げた2%の物価上昇を『2年で達成できる』と発言したことが発端なのです。委員会での野党質問の最中に、麻生は『そんな簡単な話ではない!』とコキ下ろすと、『学者というのは実態経済がわかってない!』とバッサリ。その辛辣さに、会場が一瞬静まり返ったほどです」
ただ、これが永田町で反発を招いたのには理由がある。実は、もともと「2%の物価上昇」は安倍総理と麻生氏が決めたもの。早期の物価上昇も政府側の要請で、日銀側はその勢いに呑まれる形で「2年」という期限を切ったのである。
「つまり岩田副総裁にしてみれば、政府の意向をくんだのに、難癖をつけられたようなもの。これが原因で、麻生に対する批判がマスコミや党内外の議員間に広まりだしたのです」(前同)
ちなみに、こうした反感を機敏に感じ取った麻生氏は、翌日「(2%の物価上昇と期限は)日銀に押し付ける発想は間違い」と釈明したほど。ところが、その批判はいまだ収まらず、日銀幹部を罵倒した魂胆が取り沙汰されているのだ。
自民党幹部が、その背景をこう明かす。
「すでに麻生が安倍の後に総理就任を狙っているのは評判だが、実は本人はさらに緻密にその期限を巡らせていたようです。周辺議員らによれば、その時期をズバリ『2年後』と読んでいた。つまり、日銀が切った期限内に物価上昇が成功しなければ、自分が責任を問われてしまう。そのため、岩田発言に必要以上に反応してしまったと見られているのです」
要は、その野心をついえさせる発言に、心ならずも反応してしまったのが真相とか。気の弱い日銀幹部を恫喝するぐらいなら、「尖閣を脅かす中国政府を恫喝してみては?」と考えるのは、本誌だけではないだろう。