このほど、魚にまつわる驚くべき研究が公開された。筑波大と国立がん研究センターのグループが「魚をほとんど食べない人は、食べる人に比べて大動脈の病気で死亡するリスクが約2倍高まる」という注目すべき研究結果を発表したのだ。
研究グループは、「魚に含まれる成分が、血管を保護する役割を果たしている可能性がある」と話している。
この結果は、40歳以上の男女計36万6000人に対して、魚を食べた頻度を尋ねたアンケートから導き出されたという。
被験者を「ほとんど食べない」と、「月に1、2回」「週に1、2回」「週に3、4回」「ほとんど毎日」の5グループに分け、大動脈の病気による死亡との関連を分析。その結果、「ほとんど食べない人」は、「週1、2回食べる人」に比べて、大動脈の病気で死亡するリスクが1.9倍高かったというのだ。ちなみに、血管の壁の中が裂けてしまう大動脈解離は2.5倍、血管にこぶができて破裂する恐れのある大動脈瘤は2倍という結果だった。
サンマ、イワシといった青魚などに多く含まれる脂質はDHAやEPAなどの「不飽和脂肪酸」で、もともと血液中の中性脂肪やコレステロールを低下させる作用があることが知られ、脂質異常症や高血圧、動脈硬化、心疾患、脳血管疾患など、生活習慣病の予防に役立つことが分かっていた。
「魚を習慣的に食べると心筋梗塞を防ぐことは知られていたが、大動脈の病気予防でも魚を食べたほうがいいことが分かった」(サイエンスライター)
厚生労働省によると、大動脈の病気で亡くなる人は、10年前に比べて約5割も増えているという。これは、日本人の食事が欧米化し、魚料理より肉食が増えたことも原因なのか。
「最近、高齢者の肉食も増えているが、肉食が短命かというと、そうでもない。大切なことは両方をバランスよく食べることではないでしょうか」(山梨大学医学部名誉教授の田村康二氏)
今や日本食ブームは全世界的であり、とくに魚介類は良質なタンパク質を豊富にもちながら、低脂肪という理想的な食材でヘルシーな食材として注目されている。とにかく日本人には魚が一番だ。特に40歳以上の方々は“魚肉パワー”を見直そう!