「何も決まっていないんで」
FA交渉が解禁となった11月15日、丸は淡々とした表情でそう答えていた。前日もカープの施設で練習しており、残留を予想する向きも強まったが、実際はそうではなかった。
「丸はこの件で代理人を務める人物を抱えていたんです。ロッテはすでにその人物に連絡を入れ、獲得の意志があることを伝えてあります」(球界関係者)
巨人は原辰徳監督(60)が現役時代に付けていた背番号8を用意し、5年30億円の超大型提示に加え、「誠意」も見せた。ロッテが二歩も三歩も遅れているような報道もあったが、実際はその反対だったのだ。遅れを取り戻そうとし、巨人が背番号の話まで持ち出したのである。
「丸は千葉県勝浦市出身。今季、ロッテファンが1番盛り上がったのは、地元出身の福浦が2000本安打を達成したときでした。『地元』を再認識させられたのです。千葉県内での地域活性化の活動も続けており、丸の代理人はそれに関心を示していると」(同)
その丸が交渉解禁と同時に動かなかったのは、ロッテとの交渉の予約が入っていたせいばかりではない。やはり、赤ヘルへの愛着もあるという。
「どうも、新井貴浩が助言したらしく、それが利いているみたいです。新井はFAで阪神に行き、伝統球団の重圧、大阪のキツい野次にも苦労させられましたから」(スポーツ紙記者)
丸は「日本一を目指して」とシリーズ後に語っていた。この発言は「広島に残って頂点を目指す」という意味にも聞こえたが、「もっと強いチームへの移籍」とも解釈できる。交流戦でセ・リーグを圧倒するパ・リーグ球団への移籍か…。
「丸は日本シリーズで25打数4安打。ソフトバンク投手陣の『落ちるボール攻め』は、ロッテに移籍した場合のサンプルケースにもなります」(同)
こうした情報を整理すると、代理人と投合したとされるロッテへの移籍も絶対とは言い切れない。
「プロ野球界にとって、誠意とはカネ」(前出・関係者)
巨人の逆転もある。ロッテの地元の意地が通用するかどうかは、今は換金できない「監督の約束手形」次第なのかもしれない。