ところが、そんな普通の競馬ファンでも馬主気分を味わえるシステムが存在する。いわゆる『一口馬主クラブ』と呼ばれるものだ。
「現在、中央競馬では20の一口馬主クラブが存在しています。昨年現役を引退し、現在種牡馬として大人気の三冠馬オルフェーヴルはサンデーサラブレッドクラブ、昨2013年の年度代表馬ロードカナロアはロードサラブレッドオーナーズ、現役最強牝馬と称され、3月にドバイで行われたGIレースを制したジェンティルドンナもサンデーサラブレッドクラブと、いずれも一口馬主クラブの所属馬です」(競馬ライター)
今年の3歳クラシック戦線でも、一口馬主クラブ所属馬たちが圧倒的強さを示している。桜花賞1、2着のハープスター(キャロットクラブ)、レッドリヴェール(東京サラブレッドクラブ)、皐月賞馬イスラボニータ(社台サラブレッドクラブ)、皐月賞2着のトゥザワールド(キャロットクラブ)など、牡牝ともに数多くのトップランナーたちを輩出しているのだ。
ここで、一口馬主クラブの仕組みを簡単に説明しよう。一口馬主クラブは“愛馬会法人”と馬主である“クラブ法人”の二つから成り立っている。一口馬主を募集するのが愛馬会法人の仕事で、所属馬をクラブ法人に無償で提供し、その馬は馬主であるクラブ法人の名義で競馬に出走する。
名馬オルフェーヴルを例にとると、愛馬会であるサンデーサラブレッドクラブがオルフェーヴルの一口馬主を募集、競走馬となったオルフェーヴルは、クラブ法人であるサンデーレーシングの所有馬としてレースを走った。
こんな面倒くさい手続きを経るのは、競馬法で「一口馬主は馬主ではない」と規定されているためだ。
実は一口馬主を規制する法律は競馬法ではなく、金融商品取引法。法律的根拠の説明は省くが、一口馬主は自らが出資した競走馬が競馬で得た賞金を、その口数に応じて受け取ることができる。形の上では馬主ではなくとも、活躍に応じた賞金が懐に入ってくるところはホンモノの馬主と変わりないのだ。
前述のオルフェーヴルの場合、一口馬主になるための出資額は150万円に設定されていた。オルフェーヴルは「総額6000万円、全40口」という条件で募集されていた馬なので、150万円を払って一口分の権利を得た人は、実質的には40分の1規模の馬主ということになる。