6月1日付の人事は編成局長の懲罰に近いものだった。「'12年」の1年間、及び昨年4月から今年3月までの「'12年度」の視聴率戦争で、テレビ朝日に僅差で負けた日テレ。同社は一昨年の三冠王を早くも1年で手放した。編成局長は、その詰め腹を切らされた格好だ。
「まず責任をとらされたのが、執行役員編成局長だったY氏でした。もっともY氏は昨年6月になったばかりで、ちょっとおかしいではないか、という声も挙がっていたのも事実。後任には広瀬健一スポーツ局長が横すべりで座った。Y氏は系列の巨大制作会社AXONに出向となりました」(日テレ関係者)
Y氏は就任してこれから本腰を入れようとした時だけに、更迭されたのはさぞ残念だろう。
また、局内では、編成の最高責任者である小杉善信常務も立場が危ない、と噂になっていた。ところが、小杉常務は6月に開かれる次期株主総会で、専務に昇格することが決まっていたのだ。
「今回の人事は、とかげのしっぽ切りみたいなものです。生き残ったのが、最高責任者なので、それはミエミエ。背景には、大久保好男社長が小杉次期専務を寵愛していることがある。近い将来、社長か、副社長まで引き上げるつもりです。だから、今回、傷つけるわけにはいかない。表現はオーバーかもしれないけど、Y氏一人に責任を押し付けたわけです」(制作会社関係者)
ただ、こうした人事は、次期編成局長が失敗した場合もおこなわれるはずだ。
広瀬氏は'07年、営業局次長、'11年、編成局次長と攻めのセクションに長くいただけに経験的には問題ないが、本人とて一抹の不安が胸をよぎったに違いない。
「度胸もあるし、発想のキレもいい。要するに切り札をもってきたわけです」(キー局編成関係者)
編成新体制が再建の特効薬になれば、と周囲は期待している。しばらくは目が離せない。
(編集長・黒川誠一)