白鵬が初めて東京五輪について語ったのは、東京招致が決まった直後の平成25年秋場所千秋楽。27回目の優勝を決めて、土俵下で表彰インタビューが行われたときだった。
「また新たな目標ができました。2020年の東京オリンピックまで引退しないで頑張っていきます」
こう宣言し、満員札止めの館内から大きな拍手を浴びたのだ。
そして今年3月、大阪市で行われた大相撲春場所で優勝した横綱の白鵬は記者会見を行い、その中で、自身の父がアルツハイマー病であることを明かした。
白鵬と五輪、とは意外に思える組み合わせだが、実はこんな因縁がある。
「白鵬の父、ムンフバトさんは5大会連続して五輪レスリング競技に出場した、モンゴルの英雄です。2回目の出場となったメキシコ五輪のフリースタイルミドル級では、モンゴル初の銀メダルを獲得していますが、初めて五輪出場を果たしたのが昭和39年の東京五輪。もしかすると、長野冬季五輪のように力士が入場式の先導役や土俵入りを任されるかもしれませんから、“親子で東京五輪を”と強く願っているんです」(担当記者)
この白鵬の熱い思いが実現すれば、歴史的な快挙となる。東京五輪まで「なんとしても現役で」と意欲を燃やしたくなるのも当然かもしれない。ただ、現在31歳の白鵬は、4年後には35歳。そのときまで体力がもつかどうか…。
「35歳を超えて活躍した横綱は、決して珍しくありません。7月31日に亡くなった千代の富士も、引退は35歳11カ月。30歳を過ぎてから19回も優勝しています。最も高齢で頑張った横綱は羽黒山で、引退したのは38歳10カ月でした。白鵬も十分やれますよ」(部屋関係者)
この決意をにじますように、親交のある女子レスリングの吉田沙保里選手(33)にもこんなアドバイスを送った。
「いったん休んで、(東京五輪で)また復帰すればいいじゃない。結婚して子供を産み、今度はママで金メダルを狙って欲しい」
白鵬の今の強さから見て、あと4年は大丈夫そう。引退の文字はしばらく出そうにない。東京五輪“親子鷹”なるか!?