ラミレス監督も「キツいシーズンだった。序盤で10連敗、5連敗もあったが、2位で終われたことは良かった」と振り返り、「各数字(打撃、投手成績、盗塁など)を見ても1位や2位はなく、4位や5位が多い。そう考えると選手の皆はすごい頑張ってくれた」と選手を労った。また、ファンに対しても、「ファンはファミリー。勝っても負けても変わらぬ声援を送ってくれ、作り出してくれる雰囲気が一番大きい」と感謝した。
それは数字にも表れている。ベイスターズの横浜スタジアムでの成績は43勝27敗1引き分け。貯金を16も稼ぎ、勝率は.614と圧倒的な強さを見せる。昨年あと一歩でCS進出を逃した原因のひとつが、ホームで33勝38敗1引き分けと負け越したことも要因となっただけに、今年大幅に改善できたことはチームにとって大きかった。それには多くのプレーヤーも口にするファンのサポートも欠かせぬ要因。ルーキーの上茶谷大河や、5年目左腕の石田健大も「ハマスタでの勝率の高さが証明している」とハッキリと声援が力になっていると口にしている。今年から約3500席増設された「ウィング席」効果もあり、横浜スタジアムでの最少入場者数でも29,703人と、毎試合満員の観衆から受ける大歓声の後押し効果は計り知れない。
10月5日からのCSのファーストステージは、8勝16敗1引き分けと大の苦手とするタイガースに決まったが、抜群の勝率を誇る横浜スタジアムで開催できるメリットは、ほかのチームよりデータ的にも更に大きいだろう。キープレイヤーとして、終盤になるにつれ調子を上げた2冠王のネフタリ・ソトと、デッドボールの影響で終盤戦に抹消されたが、CSには出場できそうな主砲・筒香嘉智は、それぞれ.295、.293とタイガース相手に高打率をマーク。古巣相手に得点圏打率.400と、勝負強さを発揮した大和の3人には特に期待が高まる。
ここを勝ち進めれば、指揮官の最終戦のスピーチでわざわざ発した「9月21日ジャイアンツによって優勝の望みは絶たれた」本拠地での敵将の胴上げの屈辱を晴らす舞台に進むことができる。 まずはファーストステージ、ベイスターズ戦士は圧倒的な青い力を背に勝利を掴む。日本一を決める戦いを、ここ横浜スタジアムで再び戦うために。
写真・取材・文 / 萩原孝弘