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マスクを最大限に活用 飛散量6倍から身を守る 鉄壁の花粉症対策(1)

 いよいよ花粉の季節。既に飛散し始めたという声がチラホラ聞こえ始め、地域によっては花粉対策と同時に、インフルエンザや中国からの大気汚染予防などで街にマスクをした人が増えている。
 東京都の花粉対策委員会によると、今年は都内のスギ、ヒノキなどの花粉飛散量は、過去3番目の多さになり、昨年の5〜6倍になる見通しだという。例年、2月中旬(14〜15日)頃から花粉の飛散が始まるが、今年は大雪が降るなど寒い日が続いているため、関東地方は若干、遅れ気味といわれる。
 また、インフルエンザが猛威を振るい、患者数は250万人を超えた。さらに中国の“毒ガス”といわれる大気汚染物質(PM2.5)も日本に流れ込んでいるというから、わが身の健康を保つには“専守防衛”に徹するしかない。

 さて、花粉症といえば、一般的に、くしゃみ、鼻水、鼻づまりの御三家に、目のかゆみを加えたお馴染みの現象だ。医学的には「季節性アレルギー性鼻炎」に分類され、今や国民的な病気とされる。
 ところが、この花粉症に加えて咳や痰が出たり、目の充血、涙目になったりすると、これは単なる花粉症とは言わず、花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)の“合併症”という表現に変わってくる。

 東京都内で耳鼻咽喉科クリニック院長をする、伊藤雅彦医師はこう語る。
 「一言で花粉症といっても、気管支喘息、アレルギー性結膜炎(目のかゆみ、充血など)らの合併症を含め、症状は人それぞれ。せっかく病院で診てもらっても、症状をしっかりと伝えないと先生も手の施しようがない。花粉症だと思っても、似たような蓄膿症や鼻の腫瘍、ポリープなどの病気が隠れている可能性もある。“またいつもの症状かな”などと自己判断せず、悩みや症状をすべて先生に相談するようにしてほしい。今年はインフルエンザや大気の汚染問題も絡んでいるので、確かな診察を受けてほしいですね」

 そして花粉症に似た症状のある合併症は、次の3種に分けられるという。

■結膜炎…鼻に症状が出る前の、花粉症になりかけの時に見られる。瞼が腫れあがり、目が充血、かゆみをともなう症状。点眼薬による治療が中心になるが、抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤も適時併用する。重症になるとステロイドの点眼薬を使用するが、緑内障の副作用や細菌感染の悪化を招くことがある。

■気管支喘息…花粉症と関係ない場合と花粉を原因とする喘息があるが、スギではほとんど起こさない。ハンノキ(シラカバ)やイネ科牧草花粉症でしばしば合併症をまねく。主な症状は咳と痰が出る。気管支喘息でなかった人でも、花粉症をきっかけとして発症するケースもある。

■食物アレルギー…花粉のアレルゲン性の高さも異なり、花粉の種類と量によっては、まれにショック状態を引き起こすことも。重症者や、特に喘息の既往症のある患者は、激しい呼吸によって多量の花粉を吸い込む恐れがあるので、外での運動はなるべく避けるべき。リンゴ、モモ、イチゴなどの果物を食べると口の中にかゆみやしびれなどによって、口腔アレルギー症候群を起こす場合がある。

 日本で花粉症を発生させる植物は、現在、40種類以上ある。大発生的な樹木はスギ、ヒノキ科、カバノキ科。雑草ではイネ科・牧草、キク科だといわれる。中でもイネ科とキク科は、さまざまな気候に適応して繁殖するので、花粉症を最も引き起こしやすい植物だ。

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