A:おそらく、ストレスが原因の梅核気と思われます。梅核気は以前はヒステリー球といわれました。西洋医学では咽喉異常感症がこれに相当します。
これは、喉が詰まった感じがして、その詰まりを吐き出そうとしても出せないし、飲み込もうとしても飲み込めない症状です。更年期など女性によく見られ、男性よりも女性に多い傾向があります。
●ストレスが原因
これと同じような症状が胸に起こることがあります。男性に意外に多いのですが、医師にもあまり知られていません。症状は、ご質問の方と同じように、いつも胸が詰まったような状態で、しかも空気がよく吸えない感じがします。
もちろん、胸に異常があるわけではなく、一種の“気の病”で、ストレスが影響しています。営業成績が上がらなかったりしてストレスとなり、この症状を引き起こすケースが典型的です。
改善のための対策としてはまず、本人がストレスが原因であることに気づき、認識し、自覚することが求められます。気がつくと、案外治りやすいものです。
●楽しいこと、気持ちいいことをしよう
対策法は、楽しいこと、気持ちいいことをすること。うつ病とは違うので、ストレスの種となっている事柄、多くの場合が仕事関係でしょうが、それから離れるとよくなってきます。
自分にとって最も心安らぐことを探し、それを強制的に実行したほうがいいですね。日本人は真面目な人が多く、休んだり遊んだりするのをよくないと思うことがあるからです。
休暇をとるとよいですし、週末を利用してもよいでしょう。男性の場合、一人でできることが向いています。旅行や釣り、DVDの鑑賞、異性との遊びでもかまいません。
もし気持ちが落ち込んでいて、何もする気がしないなら、意識的に何もしないのも一つの方法です。ボーッとして、心を解放しましょう。
梅核気の改善に有効な漢方薬に、「半夏厚朴湯」や「柴朴湯」があります。これらの服用もオススメ。
西洋医学の医師を受診すると、うつ病の薬や抗精神薬を処方されることがあります。他に適切な薬がないから、これらの薬を出します。一時的に気分が明るくなることがありますが、服用しないほうが賢明です。
ケセラセラで行きましょう。
三浦於菟氏(東邦大学医学部医療センター大森病院東洋医学科教授)
東邦大学医学部卒。国立東静病院内科勤務を経て、中国・南京中医学院、台湾・中国医薬学院に留学。日本医科大学附属病院東洋医学科助教授を経て現職。著書『東洋医学を知っていますか』など多数。