完全なるスタジオ収録で、MC配置は、遠藤章造と田中直樹のあいだに、紅一点となる女優・夏菜が座る。ゲストは、結婚など、人生の大事な局面を迎えたカップルや夫婦。その悩みを整理して、目の前に置かれた書面に印鑑を“ひと押し”するという内容だ。MCはいわば、見届け人。聞きだすテクニックが求められる。
ではなぜ、ココリコに白羽の矢が立ったのか。そこには、2人とテレ朝が紡いだ歴史が関係する。
ココリコが世に出るきっかけとなったのは、98年にスタートした『いきなり!黄金伝説。』。東京進出後の初冠番組とあって、2人は過酷な試練に体当たりした。
「○○だけで1週間過ごす男」で田中は、「にわとりの卵」編に挑戦。にわとりとリアルに同居した。「ヤギの乳」編では、山羊と一緒に住んだ。遠藤は、「○○のメニューをすべて食べきる男」や「ファミリーレストランの新メニューをすべて食べきる男」に挑戦している。
のちに、レギュラー&準レギュラーメンバーたちがハードチャレンジャーとなり、その後の系譜となる“伝説。”を築いていった。よゐこ・濱口優の名言「獲ったど〜!」が生まれた『よゐこの無人島0円生活』や、タカアンドトシらがフード店の上位10位を正解させるまで帰れない“帰れま10(テン)”がヒットした『もしものシミュレーションバラエティー お試しかっ!』など。デビューしたてのKis-My-Ft2や元SMAP・草なぎ剛も“伝説。”達成を強いられている。
その指揮を執っていたのは、テレ朝のプロデューサー・演出家の友寄隆英さん。昨年、自身がゼネラルプロデューサー・取材ディレクターとして制作した『陸海空 地球征服するなんて』で、落ちない塗料を顔面に塗って紫に変色した“ナスD”である。その友寄さんが「ゼネラルプロデューサー」、森三中・大島美幸の夫で作家の鈴木おさむが「構成」に入っているのが、『運命のひと押し』なのだ。
聞き手のココリコが、結婚と離婚をキーワードに、有名人夫婦から愚痴を聞く。しかし、そのココリコがそろってバツイチという矛盾。さすが友寄×鈴木。笑いのエッセンスは、こんなところにもあったのだ。
(伊藤雅奈子)