「消費税1%分は2兆5000億円です。12兆5000億円ということは、消費税5%分ということです。消費税5%分の皆さんの税金に、天下り法人がぶら下がっているんです。シロアリがたかっているんです。なのにシロアリ退治しないで今度は消費税引き上げるんですか? 消費税の税収が20兆円になるなら、またシロアリがたかるかもしれません。○○さんが4年間消費税を引き上げないといったのは、そこなんです」
こう熱弁を振るったのは、誰あろう、総理大臣になる前の野田佳彦首相。「○○」に入るのは鳩山由紀夫元首相で、今ではブラックジョークのような話だが、ここで言うシロアリの代表格とされるのが、独立行政法人(以下=独法)なのである。
独法とは、かつて中央省庁傘下の特殊法人などが行政改革で看板を掛けかえたもので、行政機関である省庁から独立して、一定の行政サービスを行う法人組織のこと。ところが、その実情は明らかに「看板に偽りあり!」と言わざるを得ない状況なのだ。
官僚機構に詳しいジャーナリストが、こう明かす。
「独法は、省庁から独立などしていません。行政を司る政策官庁の場合、事務次官レースに敗れると、局長や審議官は退官を余儀なくされるが、これまでに売った恩をカサにいまだに独法の理事などに天下りし、引き続き高収入を確保できる仕組みになっているのです。独法役員なら退官直前の年収(局長・審議官クラスは2000万円前後、事務次官クラスなら2500万円前後)と同程度、あるいはそれを上回る年収で迎え入れられる。しかも数年働くだけで破格の退職金がもれなく付いてくるから、こんなおいしい商売はないのです」
たとえば、ダイヤモンド社のビジネスサイト『ザイ・オンライン』、'12年8月31日付の記事は、この独法役員らのバカ高い給与内容を暴露している。
ザイが公表した内容によると、理事長の1位は経産省所管の『産業技術総合研究所』で、その報酬額はなんと2296万円。以下、『国立病院機構』の2277万円、『日本貿易保険』の2229万円、『年金・健康保険福祉施設整理機構』の2221万円と続き、上位16位までが2000万円を超える高給取りなのだ。
また、同記事では各理事長の前職も暴露。『産技研』が元民間銀行職員、『病院機構』は元国立病院の理事長、『日本貿易保険』は元経産省の官僚、『年金・健康整理機構』は、元大学病院の教授と明かしたうえで、こう指摘しているのだ。
《国民からの批判をかわすための策略なのか、このように理事長には所管官庁のOBではなく、外部から人材を招聘している例が多い。その分一般の理事は官僚OBががっちり固めている》
同記事には、その理事たちの気になる報酬額も紹介されており、ここでも理事長が1位だった『産技研』の理事が1859万円で堂々のトップ。2位が総務省所管の『情報処理推進機構』の1822万円で、3位は原子力村の“村人”である経産省所管の『原子力安全基盤機構』。4位は文科省所管の『日本原子力研究開発機構』と続くのである。