そんな中、テキ屋たちも「雨が多いし、咲いてから散るまでが短くて商売あがったり。例年より売り上げが3割くらい減るのを覚悟している」と嘆き節だ。
ただ待っていても客は来ない。中には“あの手この手”の工夫を凝らし、何とかカバーしようと奮闘しているアイデアマンもいる。
「花見客にポータブルラジオを貸し出した。ちょうどプロ野球も開幕したしね。50台準備したけど、1日800円で面白いように借りていったよ。スマホで何でも済ませるこんな時代でも、みんなでワイワイ聞くのが楽しいんだろうね」
「飛行機で配っている毛布、あの公園バージョンですよ。半日で500円、1日で800円。それからレンタル自転車。あれって買い出しに便利なんだよね」
花見の名所には、確かにいろいろな“お店”がオープンしていた。
タバコ販売−。銘柄は10種類くらいしか置いていない上、どうも定価より高いような…。
ピザの宅配代理−。大きな公園で場所がわかりづらいということか、ポイントを決めて、手配師のようなことをしているようだ。
何と、マッサージ承ります−、というところも。
「長丁場の花見は疲れるものでしょ。マッサージの需要はあると思ったんだよね。そこそこウケたけど、まあ場所が場所だけに満足度は低かったみたい(笑)」
見た目が豪勢だったのは“出張寿司屋”。どうやら知り合いの寿司職人を呼んだらしい。
「俺らが場所を貸してやる。ショバ代をとれるし、寿司屋も儲かるってことさ」
テキ屋たちの商魂は実にたくましい。少しは見習いたいものだ。