「とにかく花粉を防ぎ、汚れた大気と雑菌から身を守るには、予防薬もさることながら、“口から菌を侵入させない”こと。健康を守るには、これ以外ないでしょう」
こう語るのは、健康ジャーナリストの船津登氏である。
「病気にかかってしまったら、病院やクリニックなどで徹底治療を受けるべきですが、それ以前は、自己防衛以外にありません。今や常識になっていますが、空気を吸い込む口と鼻。ここから花粉などの侵入を塞ぐ武器がマスクです。さまざまな製品が市販されていますが、どれが自分の顔にフィットして効果的なものなのか、専門家のアドバイスなどを受けて選定した方がいいですね。廉価な品でも、使い方によっては十分効果を発揮します」
船津氏は、これまで医療機関の取材を20年近く続けているベテランのジャーナリスト。その船津氏が提唱する“マスクマン”への条件を聞けば、市販のマスクは95%以上の花粉をシャットアウト可能。日本赤十字社和歌山医療センターの実験でも、そのことは証明されていると言う。
しかし、その実験では、マスクを使用し続けると、花粉で目詰まりして呼吸がし難くなることもわかっている。理由は、鼻汁の中の細菌が付着するためで、「2日に一度、理想的には毎日使い捨てにするように」と船津氏。また、洗って繰り返し使うマスクの場合でも、1週間に一度くらいの間隔で、新しいものに変えた方が良さそうだ。
とはいえ、マスクといっても千差万別。「不繊布」「立体構造」「カテキン入り」とか「キトサン除菌液体セラミックス加工」や「サバイバルマスク」などがある。
現在販売されているマスクは、素材としてはガーゼと不繊布に分けられ、形状は立体型と平型に大別される。女性は「喋りにくい」「口紅うつり」の不快感などから、立体型マスクが人気だという。しかし、専門家によると顔にフィットさせる「ワイヤー類」がないため、空気漏れがするし、外から花粉や大気中の雑菌が入りやすい。
これに対し、「3枚の不繊布」を圧着したマスクは表側の不繊布が曲がり、アーチを作り、鼻、口元にマスクが直接当たらず、鼻からアゴまでスッポリ包み込む。鼻やノドの乾燥を防げるうえ、ノーズワイヤーも付いているので、鼻の上側の密着度も高い。
「マスクで一番大事なことは、顔との間に隙間をつくらない。密閉状態にすることです。隙間があれば菌が入り込むので効果は薄れる、ということです」
あとは、家の中に花粉類を入れない。窓の開け閉めや着衣のホコリ落とし、手や顔の洗顔にウガイなど、外で付着した物はすべて払い、洗い流すことを心がけるようにしたい。