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〈目からウロコの健康術〉春は「眠い条件」がいっぱいある? 睡眠の悩みをスッキリ解消するコツ

 朝、すっきり目覚めるためには、ぐっすり眠ればよいそうだ。睡眠と言うのは、体温の変化と深い関係にあることが、科学的な研究で分かってきた。体の深部の温度が下がってくると、代謝機能も落ち、脳が休息をとる態勢へと移行する。これが一般的に言われる「睡眠」である。

 だが、眠りに入って行く時に、体が冷えていくと感じることはまずない。

 その辺りの理由を、東邦大学医療センター大橋病院精神科の内山真司医師はこう語る。
「皮膚から体温を外に逃がすときは、体の表面の温度は逆に高くなる。体が暖かく感じるのはそのためです。1999年、スイスの研究グループが科学雑誌『ネイチャー』で発表したのは、眠りにつく時に体の熱を外に逃がす主要な『放熱器』となっているのは、手足の甲と太ももの内側と言う事を発見したことによるものでした。この3カ所の皮膚温度の上がり具合が、眠気の先行指標として一番確実だったということです。赤ちゃんの手がぽかぽかしてきたのは眠くなってきた証拠、というのは科学的根拠による話なのです」

 逆にいえば、効率的に熱を逃がして体温を下げられれば、スムーズに眠りに入れるはず。では、手足を冷やせばいいのかというと、それは逆効果。血管が収縮し、熱が逃げにくくなってしまうからだ。

 「むしろお湯などで手足を温め、血行をよくするのが正解です。吸湿性のよい手袋や靴下を着けて寝るのも悪くない。とは言っても、眠りに向けた体温変化は、体内時計で主にコントロールされており、リズムを無視して強引に寝るのは難しいと言えます」(前出・内山医師)

 睡眠には、深い眠りと浅い眠りがあって、ほぼ90分を1単位として繰り返している。ならば、90分の倍数だけ寝るように目覚まし時計をセットすれば、気持ちよく目覚めるのでは?

 睡眠科学の専門家にその点を尋ねると、次のような答えが返ってきた。
「理屈はそうですが、報われない事が多いでしょうね。誰でも必ず90分というわけではないので、きっちり90分の倍数をとっても誤差は避けがたいと思います」

 脳を休める深い眠りは、寝入りばなの3時間にまとめてやってくる。それ以後は覚醒に向けた浅い眠りが増えるが、この浅い眠りが終わったところで、うまく目が覚めれば快適に起きられるはず。一晩に3回から5回、このタイミングがやってくるという。

 「自然に目が覚めたら、そこで二度寝はやめて起きてしまうこと。そうすれば夜はちゃんと眠くなる。早寝早起きの習慣は、早起きから入るのが基本です」(前出・専門家)

 睡眠時間には個人差がある。何時間ぐらい寝ればいいのかは1人1人違う。自分が適切に眠れているかを判断するには、夜ではなく、昼間の事を考えるが鉄則と言われる。

 日中に眠気や倦怠感、集中できないなどの問題がなければ、夜中に目覚めた回数や睡眠時間をあまり気にすることはない。

 また、年齢とともに睡眠時間は短くなる。本当に眠っている時間を脳波で測ると、平均で8時間以上あるのは中学生ぐらいまで。70代では6時間を切っており、老化現象の1つで避けがたい面がある。生活習慣も関係してくるし、運動もしない、頭を使わなくなると睡眠時間は短くなるのだ。

★睡眠不足は「昼寝」で解消

 快眠セラピスト、睡眠環境プランナーの浜田裕子さんはこう語る。

 「現役世代で、週末に寝だめをしなければならない人がいるのは仕方がない面もあります。しかし、休日の睡眠時間が平日より3時間以上長い場合は、かなり体に負担がかかっていて、“黄信号”と言わざるを得ないですね」

 その浜田さんが、自身で考えた快眠につながる準備や環境について、次のように説明してくれた。

 「まずは、夜の照明は暗めにして欲しいですね。照度を落とし、オレンジ色の光に変えると寛げます。また、午前中はしっかりと太陽の光を浴びると、夜に睡眠ホルモンがたくさん出ますので、快眠を得られます。そして、入浴は寝る1、2時間前にややぬるめ(38〜40度)の湯に15〜20分浸かり、額が少し汗ばむ程度に温まる。入浴後はアロマや音楽、ストレッチなど自分なりの方法でリラックスする。就寝前のパソコンやスマートフォンは、光が睡眠の妨げになるので控える。逆に、朝のメールチェックは脳の活性化につながりますので、お勧めです」

 この他に、冷やしたり温めたりして睡眠に繋げる方法もあると浜田さんは言う。

 軽く冷やした濡れタオルをポリ袋に入れて後頭部に当てると寝つきの助けになる。また、目元や首の後ろ、腰の部分を温めると血行がよくなり、リラックスできる。

 枕選びは、立っている時と同じ自然な姿勢を保つ枕が理想。首と頭の後ろの隙間を埋める程度の高さがいい。本当に合う枕は、枕をしているのか分からないほどの一体感がある。敷布団の硬さでも高さが変わるので、店頭での相談が必要になる。

 寝る前の飲み物は、ハーブティーだとカモミールティーがお勧め。コーヒーが好きなひとは、ノンカフェインのコーヒーや穀物コーヒー、タンポポコーヒーなどコーヒー風味の飲み物をお勧めしたいという。

 いずれにしても、平日睡眠不足の人や昼間の眠気が取れない人は、昼寝を活用するといい。

 「なるべく早い時間帯に目覚まし時計をかけ20〜30分間寝ると眠気が取れます。それは午前中でも構わない。遅い時間や30分以上だと、逆にボンヤリ感が強くなり夜の睡眠にも影響します。夜中に目覚めるなど不眠症状を訴える人は、日本人の3割、日中の体調不良を伴う『不眠症』は1割います。多くは短期間で治るが、強いストレスがある場合などは慢性的に続く人もいます」と説明してくれたのは、社会医学研究センターの村上剛主任だ。さらにこう続ける。

 「不眠が続くと、寝床に入っても『また眠れないのでは』と緊張し、ますます眠れなくなる環境に陥ってしまう。ここから抜け出すには、快眠法でも睡眠薬でも、どんな手を使っても寝る体験をすることが大切です」

 睡眠薬は一度飲んだらやめられない、と心配する人も多いが、そんなことはない。日本睡眠学会のサイト【http://jSSr.jp】上で、睡眠薬に関してさまざま質問に答えているので、ぜひ参考にしてほしい。

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