A:片頭痛は、脳の血管が過度に拡張して痛みが生じるもので、その血管が拡張するメカニズムとしては2つの説があります。
一つはセロトニン説。セロトニンとは神経伝達物質の一種で、なんらかの原因で過剰に分泌されると血管を収縮させます。その後、セロトニンが急激に減少する際に、今度は逆に血管が過度に拡張するのです。
もう一つは、顔面や頭皮、口の中の粘膜、歯の近くなどを支配している三叉神経説。やはりなんらかの理由で刺激されると、その末端からプロスタグランジンなどの神経伝達物質が分泌されます。それらの物質により血管が拡張したり、炎症が起きたりして片頭痛が起きると考えられています。
ストレスがある時や長時間のパソコン作業に携わると、交感神経が緊張し、血管が収縮します。当然、頭部から首、肩へかけての血液循環は悪くなり、筋肉も緊張します。
ご質問の方も、普段から首や肩の血流がよくないため、その周囲にコリがあると考えられます。
●普段から血流の改善を
週末は仕事とストレスから解放される時。そんなリラックス状態になると副交感神経が優位になり、血管が拡張して血流障害は解消されます。
その際に、プロスタグランジンなどが分泌されます。この物質には痛みをもたらす作用があるため、片頭痛を引き起こすのです。
つまり、休日の片頭痛は、体が血流を一気に回復させようとした結果、もたらされるものといえます。
また、普段の仕事で体にストレスが溜まっているサインとも考えられます。
対策としては、日々の生活の中で、その都度、血流の改善を図ることが求められます。
仕事中でも少し手を休め、首や肩などのストレッチを行いましょう。「無理な残業はしない」「通勤時に一駅分歩く」などでも血行は改善します。
また、帰宅後にリラックスする時間を持つことも大事。浴槽にゆっくり浸かることも、副交感神経を優位にするのに役立ちます。
疲れやストレスが出てくるのは、ある程度は仕方のないこと。大切なのは、疲れやストレスを「なくす」よりも「ためない、持ち越さない」ことです。
首藤紳介氏(湯島清水坂クリニック医師)
薬だけに頼らない医療を実践。久留米大学病院小児科、大分こども病院、聖マリア病院母子総合医療センター等を経て、2010年より湯島清水坂クリニック(東京)に勤務。「福田−安保理論」を基盤にした自律神経免疫療法により「薬だけに頼らない医療」を実践中。