元旅客機の操縦士が言う。
「最大の謎は交信が途絶えた後の飛行状況です。同機はレーダーから消えた後、進路を変えて数時間も飛び続けていた可能性が高く、低空飛行を余儀なくされていた。また、遭難信号も出していないことから、システムが何らかの理由で切断されていた疑いも強い。乗っ取られてレーダーを擦り抜ける指示を与えられていたとも考えられるため、中国側は全容解明を目的に、ボイスレコーダーの回収に躍起となっているのです」
また、前出の外信部の記者が言う。
「軍を含めた中国政府内では、『イスラムか、ウイグルか、それとも別の武装集団か!?』との声が飛び交っている。というのも、中国は今やチベットから内モンゴルまで独立運動が起きかねない状態。もしもこれがテロなら、鎮圧しないと内部崩壊に向かう可能性が極めて高くなるからなのです」
もっとも、中国首脳らがここまでナーバスになるのには、別の理由もあるという。それが、政府が警戒する軍部の造反劇なのだ。
全国紙の北京特派記者が言う。
「実は、習政権は昨年不正蓄財を理由に、無期懲役に追いやった薄来(はくきらい)元重慶市共産党委員会書記一派の反撃を恐れているのです。同事件に絡んでは習近平国家主席の暗殺を2度も企てたとして、薄一派の周永康共産党政治局常務委員までが軟禁されているが、事件の裏には薄氏が流れを酌む江沢民派と習近平の石油利権の争いがある。そのため、最近は江沢民派の息のかかった一部軍の動きが不穏で、国内テロに乗じたクーデターが起きる可能性も指摘されているのです」
また、政府が窮する理由はこれだけではないという。その一方では中国経済が大失速。人民の間に不満が溜まり、爆発寸前の様相を呈しているのだ。
国際アナリストがこう話す。
「最近の中国経済の失速ぶりは目を見張るばかりだが、中でも不安を煽っているのは、国内に蔓延する600兆円もの『シャドーバンキング問題』。これが早晩、債務超過を引き起こすとみられているのです。経済が未曽有の危機に陥れば、当然暴動が起きる。自治区問題に端を発したテロと相まって、国が崩壊しかねない事態に陥る」
こうした数々の不安要素に怯える習政権は、一転「尖閣問題」で対立する日本に軟化姿勢を示しているという。だが、当然ながらその恭順姿勢も怪しさに満ち満ちているのだ。
「事件後、中国は深刻化するPM2.5の対策協力を求め、マレーシア旅客機の捜索に自衛隊が参加したことにも謝意を述べた。だが、これは相次ぐテロと経済失速への怯えから。政権批判がさらに強まれば、日本叩きが再燃するのは確実で、気が抜けない状況なのです」(前出・外務省関係者)
まさに、身から出たサビだが、その火の粉が我が国に降りかからないのを祈るばかりだ。