正式な契約はまだだが、阪神は新外国人投手、ピアース・ジョンソン(27=SFジャイアンツ)と最終交渉に入ったという。今季はメジャー37試合に登板して3勝2敗。防御率は5点台だが、奪三振率も高く、堅実な補強をしたと思われているが、肝心の“大型補強”は全く進んでいなかったようだ。
「阪神はオリックスの西勇輝投手を狙っています。実は、球団幹部が交渉解禁とほぼ同時に会っていたんです。近年、FA選手と交渉をする際、阪神はマスコミに日時を知らせ、大々的に報じてもらってファンを盛り上げてきました。それが“内々”に会っていたということは、獲得に自信がないのでしょう」(ベテラン記者)
一昨年、オリックスからFAとなった糸井嘉男との交渉時とは対照的だ。
「来季、39歳になる藤川球児を本気でクローザーに戻す計画が進められています」(同)
ロートルの復活まで伝えられたのは、今オフの補強がショボい結果に終わりそうだからだろう。
さらに、信じ難い情報も交錯していた。トライアウト選手を大量獲得するというのだ。
「トライアウトを受験したということは、現役を続ける意志があるわけです。年俸がダウンしても、現役を続けられるのなら問題にしないはず」(球界関係者)
ソフトバンクの攝津正、寺原隼人、五十嵐亮太、ヤクルトの成瀬善久、巨人の中井大介、中日の若松駿太…。実績十分のベテランや、まだやれそうな中堅も多い。彼らを低年俸で雇えるのならお得感はあるが、例年のような派手さは全く感じられない。
「西との下交渉がうまくいかなかったせいもあります。それと金本政権のときは外国人選手に泣かされてきたので、『確実に計算が立つ日本人選手』という流れになったのです」(前出・ベテラン記者)
矢野監督もまだ決めかねているようだ。伸び悩む若手を目にし、「金本監督が怖くて萎縮していただけ」との分析があるため、心機一転で若手に期待を寄せる声もあるが、「本当に大丈夫か!?」と矢野監督は半信半疑の状態だという。
来季からメッセンジャーが日本人扱いとなるので、外国人投手は最初から獲得するつもりで動いていた。だが、それ以外の補強、つまり打撃陣の補強に関しては、突然の監督交代によって方針が変わるなど、二転三転してしまったのだ。
「当初、阪神は西武の浅村栄斗に興味を示していました。地元の大阪桐蔭出身で強打の内野手ですから。監督が交代して内野手は自前で育てることになったんですがね…」(同)
その一方で西に関する情報収集も慌てて始めたのだ。
「西サイドに探りを入れて交渉の余地アリと見たら、いつものパフォーマンスで監督の直接出馬となります。西の本心が分からないから動きようがない」(17日時点/在阪記者)
西獲得に失敗したときに備え、例年以上に熱心なトライアウト選手の視察を行ったわけだ。
「藤浪晋太郎が復活すれば、阪神は自動的に優勝圏内に浮上できます。それは矢野監督も分かっているはず。トライアウト選手にまで目移りをするということは、復活の手応えがないからでしょう」(同)
来季の観客減が早くも予想される中、矢野監督が早くも追い詰められている。