その裏事情を、小池氏の周辺関係者がこう言う。
「実は最初から、他の都連幹部や東京都選出の国会議員の多くは知名度と実績から小池擁立に賛成の意見が強かったんです。最初は国会議員を辞めてまで知事選に出馬することに懐疑的で、二の足を踏んでいたんです。しかし、それを説得して後押ししたのは、小池氏を大臣として長期にわたり重用した小泉氏。小泉氏本人も出馬を模索したが、最終的に小池氏に白羽の矢を立てた。そこで小池氏も、出馬の意思を固めたとされています」
しかし、それに待ったをかけたのが安倍官邸、さらに森喜朗元首相と石原伸晃都連会長、加えて都議会のドン、内田茂自民党都連幹事長らだったという。中でも知事候補選びに強い影響力を発揮する筆頭が、東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森氏だ。
自民党都連関係者がこう明かす。
「森氏は、舛添前都知事の政治資金問題が火消し不可能になりつつあった5月末、石原氏や萩生田光一官房副長官など官邸関係者や、都連幹部らと会合を開いた。その席で“ポスト舛添”が話し合われ、小池氏の名前も浮上したのですが、即座に森氏が否定したんです。ボンボンの石原氏などは、なびくしかなかった」
森氏が大の小池嫌いであることは知られたところ。小池氏は森派時代、森氏の意向に何度も逆らい、それをいまだに根にもっていると言われる。
「森氏としては、五輪開催において東京都知事には自分のコントロールできる人物を置きたい。それは自民党都連幹部らも同じこと。一方の小池氏は、今でも何かと相談するのが小泉氏で、前回の都知事選では反原発、さらに反自民で安倍首相に盾を突いた。そのため安倍官邸も小池氏を苦々しく思っている。口うるさい小池氏より、利権に絡まず役人上がりで言うことを聞くポチが一番望ましいということで、一致したわけです」(自民党関係者)
かくして自民党のポスト舛添の筆頭に躍り出たのが、桜井俊前総務次官だった。
「桜井氏は菅官房長官が次官に据えたほど、安倍官邸とはツーカーの仲。嵐の櫻井翔の父親ということで、間接的にだが知名度もある。石原氏とも関係がよく自民党ベッタリで、都連としても異存はなかった」(別の自民党関係者)