「当然ですよ。昨年のカープの全選手の総年俸が20億6755万円(12球団中10位)。もし前田が田中のように最大入札金20億円でメジャーに転身すれば、カープは労せず1年間の選手人件費を節約できる。これに乗らない手はない。もっとも、田中の年俸23億円は広島の球団全体の年俸より多いわけだから、あらためて日米のスケールの違いを痛感させられます」(カープOBの野球解説者)
前田は昨年12月、7000万円増の単年2億8000万円で更改した交渉の席で「メジャーに挑戦したい」と申し出た。しかし、球団に“もう1年だけ”待ってほしい、と強引に説得され、断念した経緯がある。
「引き留めた理由は、カープが16年ぶりにAクラス入りし優勝に色気が出たことと、もうひとつは24勝無敗の田中と一緒にメジャーの市場に出た場合、買いたたかれる可能性を危惧したからです。そこで1年待って、田中と同じように、20勝投手とチーム優勝を手土産に胸を張ってメジャーへ送り出すのがベターだと。前田も得心してサインした。逆にいえば球団も本人も、今オフのメジャー移籍は了解ごとになっているのです」(カープ担当記者)
さらに、カープにはチームの功労者である黒田博樹投手をヤンキースから呼び戻す必要がある。昨秋も黒田に「カープ復帰」のオファーを出し、本人も了承したものの、実現しなかった。原因は年俸の隔たり。ヤ軍が14億円超の年俸を提示して残留交渉したのに対し、カープのそれはたった3億円。この差はいかんともし難かった。
「しかし今オフ、ヤンキースが前田を獲得すれば、カープは最大20億円が手に入り、それを黒田の年俸に回すことができる。ヤ軍にとって黒田は大事な戦力だが、田中&前田の侍ジャパンのツートップなら、興行的にもより魅力がある。水面下では、そんな話が進行しているのです」(球界事情通)
宮崎県の日南でキャンプを張るカープの野村謙二郎監督は、いち早く3月28日の開幕戦(対中日)先発起用を公表。昨季15勝7敗で4年連続2桁投手になった前田を20勝投手にバージョンアップさせ、かつ3年連続の最優秀防御率のタイトルホルダーとして高値売却をもくろんでいる。