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“一人横綱”ヤマダ電機追撃へ 最後の生き残りに賭ける国内家電量販店“恩嗟の声”(1)

 次はどこだ−−。国内家電量販店連結売上高順位5位のビックカメラによる同7位のコジマ買収が決まった今、流通関係者が新たな再編シナリオに疑心暗鬼を募らせている。「需要の5年先取り」とまで陰口された家電エコポイントの終了と、地上デジタル放送への完全移行を機に、業界再編が急ピッチで進むとの観測は以前からあった。それが今回の電撃買収で図らずも現実になったばかりか、景気低迷と少子高齢化で市場縮小が続く中、電機メーカーに対する価格交渉力を高めるためにも「ドラスチックな再編が避けられない」との見立てである。

 もっとも、栃木県宇都宮市を本拠地とするコジマには数年前から身売り観測がささやかれていた。2010年2月には創業者の長男、小島章利社長が会長に棚上げされ、寺崎悦男常務執行役員が後任の社長に就任した。これは「業績の低迷に危機感を募らせた主力の足利銀行が、再編に消極的な御曹司社長のはしご外しを画策した結果」(情報筋)とされる。実際、これを機に同じ北関東が地盤のケーズホールディングス(本社・茨城県水戸市)との合併観測が飛び交ったが、結局は実現しなかった。
 「今回のビックへの身売りにしても、取締役会で反対したのは唯一、小島会長だけ。しかも5月11日の発表前日にコジマの株価が急騰したことから、インサイダー疑惑が公然とくすぶっている。ビックには朗報ですが、この先どこかで大きな落とし穴にはまらないとも限りません」(同)

 ビックはコジマが6月に行う第三者割当増資に応じて50.06%の株式を141億円で取得する。1株あたり362円だが、これは発表当日(5月11日)の終値420円を大きく下回る。だからこそ、ビックによる晴れの買収劇にエールを送る一方で「どうもクサい」(市場関係者)との声しきりなのだ。
 ともかく、売上高トータル1兆円に届く新たな企業グループが誕生することは、“1強”ヤマダ電機にとって脅威であろう。ヤマダは昨年3月期に2兆1532億円の売上高を誇ったが、今年3月期には約15%減の1兆8354億円にまで落ち込んだ。業界を取り巻く環境が一段と厳しくなる中、他のライバル各社は、いつ弱肉強食のターゲットになり得るかわからない。それを回避するには冒頭で述べた“新たな再編シナリオ”以外にないのだ。

 ビックがコジマ買収を発表した直後、ライバル各社の株価は両極端の値動きを示した。6位で関西が地盤の上新電機と、8位で九州が地盤のベスト電器は「再編ターゲットの目玉になる」(市場筋)との期待から株価が急騰した。一方、ヤマダと2位のエディオン、3位のケーズHDは「熾烈な販売競争に巻き込まれることで収益が悪化するのは避けられない」(同)として大きく売り込まれた。

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