専門家は、次のような症状が同時に起きたらすぐ皮膚科など専門医の診断を仰ぐことを勧める。
冷たいコップに入った冷たい飲み物を持ったり、水で皿を洗った時や、寒い部屋は入ったり外出したとき、手や顔など露出した箇所が急にかゆくなった。さらに、気温の低い日、朝一番で外に出たときに息苦しさがあり、発疹や腫れる症状が出たなど−−。
こうした症状で「寒冷じんましん」と診断された場合は、「寒くて湿度が高く風の強い日などには特に注意する必要がある。外気温が4℃を下回るときには外出を控えるようにしてほしい」(木下院長)という。
また、冬場の入浴後は寒冷じんましんを発症しやすいため、脱衣所はよく暖めておくことが大事。これは他の病気(脳や心臓へのダメージ)にとっても影響するので、体温の低下は防がなくてはならない。
さらに、アレルギーを引き起こすこともある。アレルギーを引き起こす物質『アルゲン』が皮膚に侵入するとヒスタミンが過剰に分泌する。ヒスタミンは血管を広げて皮膚が赤くなり、血管から水分が出てきて腫れやかゆくなるじんましんが起きる。
寒冷じんましんの予防では、最初のアルゲンを防ぐことが重要とされ、治療ではヒスタミンを分泌させないための抗ヒスタミン剤の内服薬や注射などが有効とされる。
ただこの場合、対処療法のため、刺激があれば再発を繰り返すので、治療薬の長期使用で発症頻度を抑え、症状の重度を軽減させていくことになる。
具体的な治療法、注意点について、前出の多摩医療センター皮膚科医師に聞くとこうなる。
「梅毒やヘルペス、リウマチ、ウイルス性肝炎、がんや悪性リンパ腫などでなければ、抗スタミン薬の投与で症状は抑えられる。続けて服用することで、半年か数年で完治します。抗スタミン薬は種類が多いので、医師に相談の上、個人に合うものを処方して貰うことです。とにかく、じんましんの症状が出ている時は身体を温めてはいけない。寒冷刺激で血管が開き、ヒスタミンの分泌が増えてかゆみが出ているのに、さらに血管を開かせ、悪化させてしまうからです」
この冬、皮膚に異常が出たら油断は禁物だ。