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“激安”は風前の灯 夏の帰省を直撃する高速バス帰省

 帰省などで、『格安高速ツアーバス』を利用したことがある方も多いだろう。旅行会社が企画し、貸し切りバス事業者のバスで顧客を目的地まで運ぶというもので、東京-大阪間の運賃を例に挙げれば、JRバスなどの大手と比べて半額から3分の1程度も運賃が安い。

 学生や出張費を浮かせたいサラリーマン、節約したい旅行者などに人気だったが、この夏、何と絶滅の危機を迎えるという。
 「昨年4月に起きた関越自動車道での大惨事を受け、国土交通省は今年の8月以降、従来型の高速ツアーバスの運行を認めないことを決めた。安全管理体制の確保が主な変更点だが、最も事業者に影響を与えるのが、“バスの停留所を確保しなければならない”という点。つまり、7月末までに停留所を確保しなければ営業できなくなるのです」(社会部記者)

 現在の高速ツアーバスは、公道等を集合場所としていたため、停留所について気にする必要はなかった。東京駅や新宿駅の周りに深夜、少しだけ駐車して乗客を乗せ、出発するだけであった。それが8月以降は、場所の確保が必須となったことで、主要駅の周辺の一等地に自前でバスが止まっていられる程度の広さの場所を確保する必要が出てきたのだ。

 主要駅ターミナル周辺の土地といえば、鉄道会社の所有となっていることが多い。そして、その傘下には、JRバス、私鉄バスといった鉄道会社系バス会社がある。これら大手のバス会社は、今まで格安の高速ツアーバスに顧客を奪われてきた。復讐する最大のチャンスが到来したというわけである。
 「賃貸料を払ってバス停を貸してもらうにしても、使用できる時間帯や駅からの距離など、冷遇されそうです。コストが増えるので、今までのような格安というわけにはいかないでしょう」(貸し切りバス事業者)

 安全には代えられないとはいえ、庶民の味方がまた一つ淘汰される。

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