読売巨人軍終身名誉監督の長嶋茂雄氏と米ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏の2人に、国民栄誉賞が贈られることが決まった。
ところが、これを4月1日付でスクープしたのが、群馬を地盤とする上毛新聞の朝刊。2人の件なら、出身母体から読売新聞が抜いてもおかしくないが、同紙は夕刊で追いかけた。
上毛新聞は社員数300名のローカル紙で、地元情報以外はそれほど取材力があるとは思えない。報道は4月1日付のため、エイプリルフールと思われ、あまり注目されなかった。
だが、報道が事実だったため、永田町周辺は大騒ぎとなった。目下、リークした“犯人”と“その黒幕”は誰か、が話題となっている。
まず疑われたのが、安倍首相側近で群馬出身の山本一太特命担当大臣。本人はブログで「500%ありえない」と否定した。
「ただ、上毛新聞の東京支局長とはマブダチ。毎日のように深夜に連絡をとりあっている。本人は、だいたい誰だか推測はつくが、と犯人説の打ち消しに必死。限りなく黒に近い人物といえる」(政界ジャーナリスト)
次に怪しいのが、群馬が地元の中曽根元首相、そして渡辺恒雄読売グループ本社会長のラインである。
「上毛新聞に漏らしたのは中曽根元首相で、受勲情報を教えたのはナベツネ氏ともっぱらです。安倍首相に働きかけたのはいうまでもなくナベツネ氏で、狙いは松井を次期巨人監督へ起用するためのハクをつけること。ナベツネ氏は故氏家齊一郎日本テレビ会長とともに安倍とひんぱんにホテル西洋銀座でメシを食べていた。安倍も、頼まれればイヤとはいえません。裏には、中曽根元首相も控えているので、断りきれなかったのでしょう」(永田町情報通)
露骨に読売がスクープすると、またナベツネの仕掛けかと騒がれる。それを避けたとみていい。中曽根元首相が上毛新聞にトクネタを漏らしたとなれば、双方の長い関係から不自然ではない、と新聞関係者もみるだろう。
「中曽根元首相は、自分が動いたことを遠まわしにアピールしたかった。そうした権力誇示が、上毛新聞に掲載させることだった」(新聞関係者)
最後に、“漏洩犯”として意外な名前が挙がっているのが福田康夫元首相。
「上毛新聞のトップと雑談しているときに、福田がふと漏らしたというが、説得力に乏しい」(前出・永田町情報通)
いずれにせよスクープによる波乱の火種は、しばらく燻り続けるのは必至だ。