「万年最下位候補だったベイスターズを立て直すのは並大抵ではありません。今もリーグ最下位ですが(7月1日時点)、交流戦は13勝11敗で5位。『計算の立つ投手は三浦大輔だけ』と言っても過言ではなかったこのチームを、よくぞ立て直したものです」(在京球団職員)
先発は井納翔一(28)、山口俊(26)、久保康友(33)の3本柱を編成。新加入のモスコーソ(30)も奮闘。新人の三上朋也(25)もクローザーとして機能している。あらためて見てみると、FA補強の久保、モスコーソ以外は“中畑構想”に入っていなかったはず。
「救援の山口が不振で、先発に転向させました。井納もキャンプ、オープン戦は目立っていなかったが、今や最多勝争いをしています。新クローザーに三上を抜擢した眼力もさすが。要するに、戦いながら修正し、選手を辛抱強く使い、適材適所に据えたわけです」(ベテラン記者)
中畑監督が苦しみながらも、選手の適性を見抜いたというわけだ。
「チーム批判をした中村ノリを懲罰的な意味合いで二軍に降格させました。その是非はともかく、昨季も同じような理由で石川雄洋を二軍落ちさせました。中畑監督は指揮官としての言動が一貫しています」(同)
昨季の観客動員数は142万5728人(主催試合)。多くの球団が観客数で伸び悩む中、12球団トップの伸び率を記録したのは、中畑監督の人気もあってのこと。就任3年目の今季の“覚醒”に、古巣・読売グループも評価を改めたという。
「今季で監督の契約任期が終わる他チームから、中畑監督の手腕を評価する声が多く聞かれました。来季、別のチームに横すべりする可能性もあると思いますよ」(球界関係者)
巨人は2年ぶりの交流戦Vでリーグ首位の座も奪い返したが、苦しい局面を迎えている。いよいよラジオ局までもが主催ゲームの中継撤退を検討し始め、メディア収益の激減は避けられない。松井秀喜氏の監督招聘説が絶えないのはそのためで、人気面でのテコ入れは喫緊の課題だ。
「ペナントレース中盤から後半にかけ、巨人は苦しむと見ています。交流戦Vの立役者は亀井善行と小山雄輝。小山を先発で使えたのは“2連戦ずつ”という交流戦独自の変則日程によるもので、裏を返せば、不振の杉内、内海、大竹の登板回数を減らすことができました。今後、この不振のベテラン投手たちにもチャンスを与えていかなければならないので、首位固めとはいかないでしょう」(スポーツライター・飯山満氏)
原辰徳監督(55)も厳しい展開が続くのは覚悟の上だ。前半戦をけん引した一人、橋本到(24)の復帰が決まると、打率2割8分台の長野久義(29)を名指しして、「スタメンも厳しくなる」と喝を入れるなど、チームを発奮させている。