“3強筆頭”を示すためには申し分のない舞台が整ったが、ディラクエにとってそこは自らとの闘いの場でもある。
内田勝師は「見る方は面白いけど、こちらは強いのがそろって大変」と慎重な姿勢を崩さないものの、「右回りの方が手前を替えるのもスムーズで動きはいい。前走後の目標はここと決めていたし、クラシック前の始動レースへ向け、納得のいくデキに仕上がったよ」とその表情は明るい。
小向入厩時は川崎競馬場の出張馬房に入った全日本2歳優駿のときとは違い、新しい環境に慣れるまでに1週間から10日ほどかかった。だが、落着きを取り戻してからは2週前に大井で馬場見せを行ったほか、中間、最終追い切りと予定通り、順調に歩を進めた。
あくまで本番は先とはいえ、それに向けての“中身”が重要となる一戦。全日本でのレースぶりが象徴するように、後方からマクリ一気のレースが多い個性的なディラクエに対し、トレーナーは「あの脚が使えるんだから好位でためて直線で脚を伸ばすようなレースができないか。強い相手がそろう大きなレースを勝つために、もう少し競馬の幅が広がればとも思っている」と話した。
果たしてどんなレースがこの馬の力を最も発揮できるのか、トレーナーもジョッキーもクラシック戦線を見据えた確かな手応えを求めている。
もっとも、「何より、調教で速い時計を出すときの動きなんかは今まで手掛けた(馬の)中でも一番じゃないかというくらいの底力を感じる」と眠れる素質…こちらには確たる手応えがある。
ウイグル語で「魂の叫び」を表すその名のごとく、勝利の叫びで3歳王者候補筆頭の名乗りを挙げるか、この先を占うにはまたとない機会を得て、実績ナンバーワンの走りを披露する。