親方は6月中旬、現役時代の激闘で両方の耳たぶが腫れて固まってしまい、人の話などが聞きづらい上にメガネをかけるとこすれて激痛が走るのを解消するため、都内の病院に入院して手術を受けた。その後、順調に回復し下旬には名古屋入り、三重県桑名市の宿舎で元気に弟子の指導に当たっていたが、初日の2日前に体調不良を訴えて急きょ帰京。再び入院した。
「耳が治りきっていなかったようです。大きな病気ではないと聞いている」と関係者は話しているが、大事な場所を全休したのだから、やはりただごとではない。何しろこの名古屋場所では、土日祝日を除いた平日の9日間のマス席Bを対象に『平成の大横綱』と呼ばれた貴乃花親方と記念撮影できる特典付きで販売していたからだ。突然、肝心の親方がいなくなったため、相撲協会は大慌て。横綱大関経験者の中から琴欧州親方を代役に指名し、何とか切り抜けることにしたが、4万2400円もの大金をはたいて切符を買ったファンは“看板に偽りあり”の思いを強くしたはずだ。
これだけファンに大きな迷惑を掛けながら、協会は「貴乃花親方が初日から休場します」と紋切型の発表をしただけで、詳しい説明やお詫びは一切なかった。さらにおかしいのは、貴乃花親方は本業を休場しながら副業のスポーツ新聞の解説をやり続けたことだ。
「この本末転倒の解説は、3日目から打ち切りになりました。さすがにまずいと思ったんじゃないでしょうか。協会は力士の相撲内容を言う前に、自身の襟を正すべきですね」(担当記者)
貴乃花親方にとっては、一段と耳が痛いに違いない。