「ざっくり言うと、4割は減りましたね。中国本土からの航空機は4社のうち海南航空は週2回の便が運休、吉祥航空は週に4便でしたが2便となり、中国東方航空は週12便から7便になりました。中国国際航空は週に2便が運休しています。頭が痛い話ですよ」
地元の旅行代理店スタッフも苦々しく語る。
「沖縄県と東北3県を対象に政府が導入した中国人個人観光客への数次査証(ビザ)。これは一度取れば、期間内なら何度でも自由に日本中を旅行できるものです。観光振興や東日本大震災の復興支援の“切り札”だったのですが、尖閣問題を契機に効果は薄くなりました。日本旅行の予約やツアー商品を紹介する展示会のキャンセルが相次いでいます。そもそも本土からの旅行客が少ないのが、沖縄の観光政策の悩みだったのですから、そちらを何とかしないとどうにもなりません」
沖縄都市モノレールのおもろまち駅前にある免税ショップ街『デューティ・フリー・マーケット』は、以前、中国人観光客でごった返していたはずだ。しかし今は、ここでも悲鳴が上がっている。
「船便も月に4便ほど減ったと聞いています。かつては、ここに買い物だけしにくる中国の方も多かったのですが、めっきり減りました」(免税ショップ店員)
ほとんど人がいない中、北京から来たという30代の男性に、運よく話を聞くことができた。
「センカクの問題は知っているけど、騒ぎすぎじゃないかな。そもそも中国人は日本のアニメやポップスが大好きだから、若い世代は本当は日中関係がこじれるなんて望んでいないと思うよ。中国からの沖縄観光は比較的安いから、またそのうち人気が復活するさ」
一向に改善の兆しが見えない米軍基地問題と、経済振興の切り札だったはずの中国人観光客激減−−。
今回、たまたま話を聞くことができた米兵と中国人、その2人の印象のせいもあるが、沖縄にとって、やはりアメリカは“鬼”だ。
基地がそこにある限り、奴らは何度も何度も過ちを繰り返すだろう。二度と起きないようにする唯一の方法は、米軍の完全撤退以外にないが、それが非現実的というなら、せめて“思いやり予算”か、はやりの“復興予算使い回し”の中から、米兵3人に1個ずつくらい『電動しびれフグ』でも支給してやったらいい。