オトコ黒田は“メジャー仕込みの変幻ボール”で対戦チームを翻弄させたが、前田健太の調子が上がってこない。すでに開幕投手の指名を受けているマエケンの不振は、黒田博樹を意識し過ぎての空回りかもしれない…。
「今季、黒田帰還の恩恵を最も受けたのはマエケンだとの声も広島内部から聞かれました。報道陣、ファンは黒田に群がり、マエケンは完全にノーマーク。練習に集中する時間を多く得たので、ベストコンディションで開幕に臨めるのではないかと」(チーム関係者)
マエケンが“異変”を表したのは3月20日の対ソフトバンク戦だった。オープン戦最後の実戦登板であったこの日、ホークス打線に捕まり、5回7失点と大炎上。1試合で7点も失ったのは、2009年3月以来となる。マエケンは「球数(101球)を多く投げられたことだけは良かった」と自虐的に語っていた。
一方の黒田は3月22日、同じくソフトバンク相手に貫禄のピッチングを披露。7回を投げ無失点と完璧な内容で、開幕へ向け順調な仕上がりぶりを見せた。
ここで思い出されるのが『両雄並び立たず』の言葉だ。マエケンは“先輩・黒田”を意識するあまり、変に力み過ぎているのではないかというもの。
「大瀬良大地が黒田に心酔しています。黒田がメジャー時代にマスターしたツーシームを習得しつつあり、師弟関係も構築されつつある。でも、新人だった昨季はマエケンが面倒を見ていたんですよね」(スポーツ紙記者)
大瀬良は“黒田ボール”をオープン戦でテスト投球し、手応えも感じている。3月17日の対日本ハム戦で試運転し、「思っていたような感じで投げられました」とコメント。通常、変化球を新たにマスターする場合、1年は要するといわれる。「実戦で使えるまで」という意味だが、キャンプ後半から教わり1カ月弱でここまで来られたのは、まさに黒田効果だ。
「首脳陣が黒田獲得で最も期待していたのは、精神的支柱として若い投手陣を引っ張ってほしいからであり、コンディション作りや投球術を体現してほしかった」(前出・関係者)
4月11日で27歳になるマエケンには、もうその必要はないと思ったのか…。しかし、新旧エースの真の関係は違った。
「黒田がメジャーに渡って以来、2人は毎オフ会ってきました。人目を忍び食事をしながら、黒田は投球術だけでなく、カープ愛や『エースとは』を伝授してきました」(同)