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専門医に聞け! Q&A “男の冷え性”の対策法

 Q:冷え性のため、冬の寒い時期はいつも辛い思いをします。デスクワークですが、社内は節電のために暖房の温度を低く設定しています。そのせいもあるし、仕事中、手足が冷えて困っています。何かよい対策法がありましたら教えてください(40歳、設計事務所勤務)。

 A:冷え性は女性に多いのですが、今では男性にも見られ、珍しくはありません。
 冷え性は、血液の循環が悪いために起こります。特に末梢の血管の血行が悪く、そのために手足の先端に冷えが強く現れます。その遠因としては、ストレスや運動不足などが挙げられます。冷え性は日本人だけのもので、西洋人にはないようですが、これには体温が高いことが関係しているかもしれません。

●使い捨てカイロで手首や足首を温める
 「冷え性」は「冷え症」とも書きますが、日本の漢方では冷え性は状態を表し、冷え症は病気として捉えます。男性の冷え症は、顔が褐色などの色黒で、痩せた人に多い傾向があります。この場合の色黒は血液の巡りが悪いためです。
 対策法としては、湯たんぽを用いるのもよいですが、それよりオススメは使い捨てカイロです。貼る場所は手首や足のくるぶしです。これらの場所は動脈が走っています。動脈を温めることによって動脈の血流が促進されるので、冷えが緩和されます。
 使い捨てカイロは、小さいサイズのミニタイプも販売されているので、これを使用するとよいでしょう。シャツや靴下の上から貼って、緩めのゴムで止めたらよいと思います。

●漢方薬は『当帰四逆加呉茱萸湯』がオススメ
 もうひとつ大切なのは、格好をつけて薄着をしないことです。昔から伊達の薄着といいますが、節電が奨励されている今はとくに、重ね着をするなどして暖かい格好をしましょう。
 ただし、着込むと暖房がしっかり効いているところでは汗をかき、そのために風邪をひくことがあります。暑ければ一枚脱ぐなど、臨機応変に対応しましょう。
 漢方薬には冷え症に効くものがいろいろあります。冷え症にもっともよく使われる代表的な漢方薬が『当帰四逆加呉茱萸湯』で、特に手足など体の末端の冷えの改善に効果的です。
 この漢方薬は健康保険適用のエキス剤があります。病院で処方してもらえるし、薬局で購入することもできます。一定期間、この漢方薬を継続して服用してみるとよいでしょう。
 また、ご質問の方は、体を動かす機会が少ないのではないでしょうか。
 もしそうなら、定期的に運動することも必要です。

三浦於菟氏(東邦大学医学部医療センター大森病院東洋医学科教授)
東邦大学医学部卒。国立東静病院内科勤務を経て、中国・南京中医学院、台湾・中国医薬学院に留学。日本医科大学附属病院東洋医学科助教授を経て現職。著書『東洋医学を知っていますか』など多数。

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