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オリンパス、ソニーの同床異夢 資本提携交渉に亀裂が入る理由(1)

 巨額粉飾決算事件を起こし財務基盤の強化が急務のオリンパスが、ソニーから約500億円の出資を受けることになった。交渉は最終局面を迎え、「7月中の合意を目指している」とされており、多くの経済メディアは早くも決着したかのように報じていた。
 しかし、あるソニー関係者は何と、「土壇場での決裂」の可能性を示唆している。一体どんな事情があるというのか−−。

 オリンパスをめぐっては、ソニーのほかに富士フイルム、テルモ、パナソニックの計4社が資本提携候補に挙がっていた。中でも、内視鏡向けに画像センサーを供給するなどデジカメ事業で深い関係にあるパナソニックが最有力視されていたが、同社は「6月半ばになって環境・エネルギー事業の強化を優先するとして出資の見送りを決めた」(情報筋)ことから「4社の中で最も熱心な」(同)ソニーが急きょ本命に繰り上がったのが実情。
 新聞、テレビの一斉報道はそれを受けてのことだが、実をいうとソニーは4社の中で資本提携による相乗効果が最も薄いと見られてきた。だからこそ交渉の大詰めの段階で「双方の思惑が激突して決裂しかねない」と前出のソニー関係者は指摘するのだ。

 第1の理由は出資額500億円。出資比率にして約10%の中途半端なレベルにとどまることにある。本業であるエレクトロニクス事業の不振で今年の3月期まで4期連続の赤字垂れ流しに陥ったソニーは、医療分野を新たな成長の要に位置づけ、平井一夫社長は今後3〜5年で「医療事業の売上高を1000億円超にする」との大目標を掲げている。医療事業でほとんど実績がない同社にとって、内視鏡で世界市場の7割強を握るオリンパスと提携すれば目標は楽々とクリアできる。
 「オリンパスの争奪戦が始まると、ソニー首脳陣は投資銀行やオリンパスのメーンバンクなどを精力的に行脚して『最大1500億円を出資できる』と吹聴した。そのココロは『だからソニーの資本参加を認めて欲しい』ということ。懲りない金満感覚というのか、要するに札束の威力で銀行を味方につけようとの作戦でした」(金融関係者)
 最大1500億円の出資といえば、発行済み株式の約30%取得を意味する。もう少しで経営権奪取に王手がかかる水準だ。いくら今回、500億円の出資にとどまるとはいえ、行脚の印象は鮮烈だ。笹宏行社長はじめオリンパス首脳が「これをステップに本性を現すのではないか」と警戒しないわけがない。

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