相撲協会の改革は、おざなり人事!?
この日、理事会と審議員会が開かれ、角界の立て直しをはかるべく外部役員3人を正式に承認した相撲協会。一部報道では、瀬戸内寂聴氏や元衆議院議員の“塩じい”こと塩川正十郎氏の名前も挙がっていたが、理事は東京大学名誉教授の伊藤滋氏、弁護士で元東京高検検事長の村山弘義氏、監事は元警視総監の吉野準氏に決定。その後、武蔵川新理事長と4人そろって会見に臨んだ。
秋場所中に役員の打診したという武蔵川新理事長は「いろいろ意見を聞きながら、相撲協会一丸となって頑張っていきたい」。ようやく改革の本丸でもある外部役員を決定した相撲協会だが、その一方で腑に落ちない点もある。
3人の人選理由になると「(各方面で)素晴らしい経験を持っているので就任をお願いした」と言うにとどまるのみ。
それだけではない。3人ともあくまで相撲ファンで、角界とのかかわりはないと“外部”を強調したが、どうやらそれも違うようだ。
村山氏は会見で「出羽ノ海一門の方々とは、かねてよりお付き合いがございまして。武蔵川理事長の後援会の行事にも参加させていただきました」と角界とつながりがあったことを告白した。
さらに時津風部屋の力士死亡事件や大麻問題など不祥事が相次いでいるにもかかわらず、「平成20年の事業計画書を拝見しておりますけど、大変立派なものだと思います」(村山氏)とヨイショする有り様だった。
また、他の2人も「ずっと学校の教師をしていたので、教育の面でお手伝いできるのではないか」(伊藤氏)、「『気は優しくて力持ち』というお相撲さんのイメージを崩さないようしっかりとした態度をとってほしい」(吉野氏)などと語るのみ。具体的な改革案は、明らかにしなかった。
なにやら怪しい匂いがプンプン漂う今回の外部人事登用。果たしてこの先3人は、角界にどんな風を吹き込むのか。その手腕に注目が集まる。