トヨタは現在、完全自動運転の小型のバスのような自動車の開発に取り組んでいる。その“未来の車”が無人の移動型コンビニや病院として活用できるとし、なんと2020年代の半ばまでには実用化すると大風呂敷を広げているのだ。
「そもそもトヨタは、自動運転の技術で、世界はおろか国内メーカーからも大きく出遅れています。事故を起こしたときの責任問題など、リスクばかりを恐れ、気がつけば単純な自動ブレーキすらつけない“危ない車”を量産し続けていた」(モータージャーナリスト)
こうした背景もあって、トヨタはかなり焦燥感を抱いている。自動運転の主導権争いでは、グーグルやウーバーといった最先端企業がひしめくアメリカがリードしているが、中国の追い上げも凄まじいからだ。
「今年3月にアメリカでウーバーの自動運転実験車が人身事故を起こしたことを受け、世界的に実証実験に待ったが掛かった。中国は、これを逆に『チャンス』と判断。国家を挙げて自動運転を推進する方向性を打ち出したのです」(国際ジャーナリスト)
百度のようなIT企業や、清華大学などの研究機関、さらには地方政府にまで莫大な予算を投下しているというから、トヨタの尻に火がつくのも無理はない。そこで、ソフトバンクと提携し、巻き返しを図ろうという戦略なのだが、トヨタにはまだ課題が残る。
「世界の流れは『完全自動運転』と『完全電動化』に向かっていますが、いわゆる電気自動車の開発にもトヨタは積極的ではない。モーターだけで走り、エンジンを必要としない電気自動車は“実物大のラジコンカー”。これが主流になると、エンジンに関する技術のアドバンテージがなくなり、テスラのような後発のメーカーとも戦わなくてはならなくなるからです」(同)
グーグルや百度が自動運転技術に磨きをかけ、自動車本体を製造するようになったとき、果たしてトヨタは生き残れるのか。