飯野氏は身長175センチで体重100キロ。長い髪と巨漢がトレードマーク。
「高校中退後、ゲームソフトの会社を設立し、'95年に発売したミステリーアドベンチャーゲーム『Dの食卓』は海外でも人気を集め、約100万本を売り上げる大ヒットとなった。天才肌で仕事一本槍。NHKに出演したこともあるが、食生活も生活習慣もめちゃくちゃだったみたいです」(業界関係者)
高血圧は自覚症状がないために、「サイレント・キラー」と呼ばれ、全国で約4000万人が患っているといわれる。
「若い頃から太った体が特徴的でした。しかし、さすがにこれではまずいと“炭水化物抜きダイエット”を実践し、80キロ近くまで減量に成功。それでもまだ体重は多めでしたがね。ただ、高血圧の大きな原因である“肥満”は、解消する傾向にあったと聞いていました」(医療関係者)
飯野氏の場合、若い頃から高血圧の状態が長く続き、心臓は壁が厚くなって肥大化し、収縮する力を失っていたことが考えられる。高血圧によって動脈硬化などが進み、心臓自体の筋肉にも血液が回りにくくなる。そのため、突然心停止する危険が増していたとしても不思議はない。
血圧治療の名医として知られる関東医療クリニックの松本光正院長が言う。
「心臓というのは身長で大きさが決まります。飯野氏の場合、背中に大きな荷物を背負ったまま山を登っているに等しい体型だった。中型車にもかかわらず積載オーバーのダンプカー並みに砂利を積んでいたといえるかもしれません。したがって、アクセルを踏み込んで血圧を上げないと生きていけなかったと思います。こういう状態が続くと心臓には大きな負担が加わります。
大動脈から全身の隅々まで血液を送り出すため、心臓を強く揉みだすことになる。これが続くと心臓の筋肉は肥大します。厚くなった分だけ心臓は硬くなり、血液を拍出した後、拡張して元に戻るのに時間がかかるからです」
しかし、ここで血圧のクスリを飲むと、逆に歩けなくなると松本氏は言う。
「血圧は意味なく上がるわけではありません。積載オーバーの車を動かそうとして上げている。それをクスリで下げると、体はダウンしてしまいます。血液もドロドロだったはずです。もし、飯野氏のような患者さんがいれば、まず荷物を下ろすこと。スーパーなどの弁当は1食700キロカロリーあり、飯野氏は不要な弁当を200食分くらい体にぶら下げて歩いていたことになる。したがって、それを改善するには1日1200〜1400キロカロリーの食事にして余分な栄養を消費しなければならなかった」
飯野氏自身、炭水化物抜きダイエットを実践していたというが、松本氏は「一汁一菜」の粗食を勧める。
「今はご飯がダメだという向きがありますが、おかずをあれこれ食べる方がよくないと思います。具だくさんの味噌汁とほうれん草のおひたし、それに茶碗に軽く一膳ご飯を食べる。むしろその方がいいと思います」