A:めまいは現代人に意外と多い症状です。めまいを起こす病気は、メニエール病や良性発作性頭位めまい症などが有名です。
めまいには中枢性と末梢性があります。中枢性は脳の異常、末梢性は内耳(蝸牛・前庭・三半規管)の異常によって発症します。これらの背景には、ストレス、体(筋肉)の緊張、過労、運動不足、冷え、骨格のゆがみなどがあります。質問の方は、脳に異常がないので末梢性と考えられます。
●頭蓋骨のゆがみを取り改善
末梢性めまいは、次のようなメカニズムで発症すると、私は考えています。頭蓋骨は28個の骨が縫合して構成されています。固定して動かないものと思われがちですが、実はこれらの骨は自分で動いています。
肩から上の筋肉が緊張すると、頭蓋骨の縫合は固定して動かなくなります。すると、頭部の血液やリンパの流れが悪くなり、その結果、内耳の働きも低下し、めまいが生じるのです。
筋肉を緩めると頭蓋骨の緊張もとれ、頭蓋骨は自分で動き始めます。すると頭蓋骨のゆがみは自然に取れ、めまいも改善するのです。
まずはストレスをためず、十分な睡眠とリラックスで筋肉を緩めることが求められます。その上で、オステオパシー(アメリカで生まれた整体の一つ)に基づいた頭蓋骨の調整をするとかなり有効です。この頭蓋骨調整には、簡便な方法があります。
●自分でできる頭蓋骨調整
硬式テニスボール2個とガムテープを用意し、2個のボールをくっつけ、ガムテープを巻き、ずれないようにします。両耳の横のやや下の辺りに骨の出っ張りがあります。この骨のすぐ下の柔らかい所が、頭と首関節の境目です。
平らで硬い床の上に座り、頭と首関節の境目にボールを当てます。そして、首の下に雑誌などを敷いて、ボールの位置が首方向にズレないように注意しながら、そのまま仰向けに寝てください。深呼吸でリラックスして、5分程度この姿勢を保ちます。1回の時間は最大15分以内にとどめ、1日3回をめどに行います。
まずは過労を避け、十分な睡眠をとり、筋肉の緊張を緩めた上でこの方法を継続して行うと、首関節が調整され、頭蓋骨のゆがみも改善されます。徐々にめまいも改善することでしょう。
首藤紳介氏(湯島清水坂クリニック医師)
薬を使わない医療を実践。久留米大学病院小児科、大分こども病院、聖マリア病院母子総合医療センター等を経て、2010年より湯島清水坂クリニック(東京)に勤務。「福田-安保理論」をベースにした自律神経免疫療法により、「薬を使わない医療」を実践中。