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40代以上必読 「葬式」の値段 簡素化する「終活」の実態(1)

 残暑が厳しかった今年の9月。中旬を過ぎてなお最高気温が30度を超えた敬老の日、神奈川県横浜市にある某セレモニーホールには、高齢者たちの、外の気温にも負けない熱気が満ちていた。夫婦で参加するもの、単身で、あるいは知人と連れ立って参加するもの、その数200人あまり。実は『終活』セミナーに参加した人たちなのだ。

 『終活』。まだまだ聞き慣れない人も多いだろう。あるインターネット調査では、60歳以上の男女の内、約45%の人が「知っている、聞いたことがある」と回答し、10%の人が実際に終活を始めているという結果があった。また同時に『エンディングノート(万一に備えて自身の希望を書き留めておくノート)』に関しては、約40%の人が書いてみたいと答えている。
 そう、終活とは『いずれ訪れる人生の終わりを迎えるにあたり、前もってするべきことをまとめた活動』のこと。具体的に何をするのかというと、生前のうちに自分の葬儀やお墓を準備する、財産の相続計画を立てておく、遺書を作っておくなどがある。

 セミナーに参加していたTさん夫婦(男性68歳、女性65歳)は、「こんな時代だから、私たちが死んだ後に子供になるべく迷惑をかけたくないと、夫婦で相談して参加しました。葬儀をいくらで済ませるか、お墓をどうするか、など今のうちに決めておけば安心できますしね」と、話してくれた。
 同じくSさん(70歳)は今年、住んでいる団地で孤独死をしていた老人に続けて遭遇したことが、参加のきっかけだったという。2011年に民間研究機関『ニッセイ基礎研究所』が公表した65歳以上の孤独死(自宅で死亡し、発見まで2日以上経過)の年間推計値は、全国で2万6821人にものぼる。
 「私は10年前に主人が亡くなってから独り暮らしをしています。子供もいないし、遠方に親戚はいますがあまり付き合いをしていません。自分が将来死んだ後、どうなるのか考えたら急に不安になりました。終活セミナーの参加は今回が2回目です」
 Sさんは、ささやかな貯えの中で、自分が死んだ後に葬儀や遺品整理など死後の諸手続きや事務を代行してくれる“保険”の相談にも興味を持ったという。

 近年、このように自分の最期をあらかじめ決めておこうという高齢者が急増している。実際、週末ともなれば全国各地で終活セミナーが開催され、軒並み満員御礼。葬儀屋、保険会社なども新たな顧客開拓の場としてセミナー開催に力を注いでいるのだ。

 そんな終活セミナーだが、参加者の一番の注目は、やはり葬儀のこと。自分が死んだ後では人任せになるだけに、今からきちんと自分自身で決めておきたいという人がほとんどだ。家族葬専門の葬儀社『オフィスシオン』寺尾俊一氏が、最近の葬儀事情を教えてくれた。
 「去年、私が実際に調べたデータですが、都内で行われた葬儀の実に3分の1が“直葬”だったのです。直葬とは葬式を行わずに、死亡したら直接火葬することです。これはもう日ごとに増えていますね。もはや葬儀にかかる費用は、安ければ安いほどいいという考え方が普通に広まっています。中には霊柩車も使わず、ご自身の車でご遺体を運ぶ人もいますよ」

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