そんな恐るべき予測が、先ごろ環境省から発表された。これは、28の大学や研究機関が環境省の研究プロジェクトに参加し、将来予想される温暖化の被害について4年間かけてまとめたものだ。
「報告書では今世紀末の予測が示され、温室効果ガスの排出量が増え続けた場合、気温の上昇や降水量の増加の影響で日本では洪水の被害が増大、年間の平均の被害額は20世紀末の時よりおよそ4800億円増加し、3倍程度になるとしている。健康への影響では、熱中症などの熱ストレスで死亡する確率や、熱中症で搬送される人の数が、すべての都道府県で2倍以上に上る恐れがあるとしています」(サイエンス記者)
一方で報告書では、洪水については堤防のかさ上げ、農作物については高温に対応した品種の導入などの対策を、それぞれ温室効果ガスの排出削減と合わせて実施すれば被害を抑えられることも指摘している。
「熱が原因で死亡する人が2倍になったり洪水が3倍になる前に、日本が亜熱帯化しマラリアで死亡する人が増えると思います。マラリアを媒介するハマダラカばかりか海外にいた農作物の害虫も北上し、深刻な問題になる。太平洋側は防潮堤を作らないと、海面上昇により関東、東北の米どころは大打撃を受け、日本の食糧自給率がますます低くなるでしょう」(ジャーナリスト・村上和巳氏)
亜熱帯で知られる小笠原で飛び交うハマダラカが、船とともに東京にやってくることも考えられる。となれば、東京でもマラリアが発生することも考えられる。
早急な対策が必要とされているのだ。