5日の開幕戦で中国を下し、2次ラウンド進出に王手をかけている日本代表。この日は、韓国戦に備え、室内練習場で最終調整した。
打撃の調子が上がらないイチローは、全体練習開始前からティーバッティング、フリー打撃など黙々とバットを振り続けた。打撃練習だけでなく、キャッチボールやノックなど守備練習も精力的にこなした。
練習後には、迎えのワンボックスカーをバスに横付け。コメントを引き出そうと待ち構える報道陣の注意をひきつけている間にバスに乗り込んだ。用意周到な作戦で無言のまま球場を後にした。
前日に下ネタを解禁して弾けたかと思えば、この日は一転してダンマリを決め込むなど、まったく先が読めないイチロー。この日、報道陣を極端に避けた原因が、打撃不振によるストレスであることは間違いないだろう。
だが、幸か不幸か“イチロー火山”が一向に噴火しないことで、チームに意外な相乗効果が生まれている。
イチローの打撃練習を見守っていた篠塚打撃コーチは「全員がベストの状態というのは難しい。彼は守り(守備力)もある。(ヒットが)1本出れば違ってくるでしょう」とキッパリ。まったく心配はしていない。
イチローに替わって3番を打っている青木宣親も「イチローさんでも打てないときはありますから」と擁護したうえで「そこをみんなでカバーしないといけないですし、野球は全員で勝つものですから」と全員野球を強調している。
チームリーダーの調子が上がらないことで、他の選手たちに「俺がやらなければ」という気持ちが芽生え、チームに一体感が生まれている。
イチローの不振により他のチームメイトが奮起した。韓国との大一番を前にピリピリムードが漂う中、“イチ枚岩”となり、侍ジャパンの団結力は、より強固なものへとパワーアップしている。