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「渋井哲也の気ままに朝帰り」店を辞めた後に連絡があるキャバ嬢

 「私が最初に指名した子は、結婚して辞めちゃったな」

 「別の子は、田舎に帰ったっけ」

 ある夜、初めてのキャバクラで、かつて指名したことがあるキャバ嬢の話になった。なんでそんな話になったのか、といえば、席に着いた嬢(26)が、

 「もうそろそろ私も年だし、結婚しようかな」

 と言い、婚活話になったからだ。そのとき、どのように店を辞めるべきか、やはり「みずあげ」が一番いい、という話になった。

 もともと「みずあげ」というのは「水揚げ」で、芸妓遊女が初めて客と肉体関係を持ち、処女を喪失すること。その客が「旦那」となり、スポンサーとなることを指します。現在では、水商売を上がることを「みずあげ」と呼んだりしますが、この場合は「水上げ」と書き、業界からの引退を指します。お客との結婚というケースも多いと聞きます。

 そんな話になったとき、この嬢が、

 「てっちゃんは、やさしいのね」

 すでに下の名前「哲也」を言っており、すると、呼びやすいように「てっちゃん」と嬢は私を呼んでいました。そこで、「てっちゃんは、優しそうですね」と言われた後に、そう言われたのだ。

 「どうして?」

 私が聞くと、嬢は、店を辞めた後でも、業界を引退した後でも、連絡を取っていることを上げた。普通は、連絡を取らなくなる嬢が多いのだろう。私だって、まったく連絡が途絶える嬢もいました。指名していた時には親しくしていたように見えても、関係が途絶えるということもありました。そのため、私にとっては、店を辞めた後に連絡が続く嬢がいるのは、偶然だと思っています。

 最近、六本木の店を辞めた嬢から連絡がありました。この嬢とは長い付き合いです。でも、この嬢は、辞めた後に別の店を探していますので、つなぐために連絡をしてきただけでしょう。

 また、赤坂の店に勤めていた嬢も、最近は、新橋の店に移籍したことを伝えてきました。こうした連絡が、つなぎとめたい客たちにあるのでしょう。だから、私が「やさしい」かどうか、というよりは、「付き合いやすい」と考えているのだろうと思うのです。

 そう思うのは、特に私が嬢たちに何かをした記憶がないからです。それなに、特別に思われる理由がありません。「やさしい」という言葉も、「やさしい」=「特別視」とも思えません。仮に、本当にそう思われていても、なんだか素直に納得はできないものです。

 そういえば、「もうすぐ店を辞める」宣言をしている嬢が複数います。ある嬢は、やりたい仕事を探すそうです。別の嬢は、まだ何がしたいのかはわからないらしく、ゆっくり考えるための時間が欲しい、といいます。彼女たちが引退をしても、プライベートで連絡を取り合うことがあるのでしょうか。

<プロフィール>
渋井哲也(しぶい てつや)フリーライター。ノンフィクション作家。栃木県生まれ。若者の生きづらさ(自殺、自傷、依存など)をテーマに取材するほか、ケータイ・ネット利用、教育、サブカルチャー、性、風俗、キャバクラなどに関心を持つ。近刊に「実録・闇サイト事件簿」(幻冬舎新書)や「解決!学校クレーム “理不尽”保護者の実態と対応実践」(河出書房新社)。他に、「明日、自殺しませんか 男女7人ネット心中」(幻冬舎文庫)、「ウェブ恋愛」(ちくま新書)、「学校裏サイト」(晋遊舎新書)など。

【記事提供】キャフー http://www.kyahoo.jp/

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